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失われた30年に実現した消費文化の絶頂 もっと豊かな「生活者天国」日本へ

毎日家庭に新聞を届けることが可能だからこそ、高い水準での購読料の売上ともちろんともなう広告料を獲得し、大きな経営上の基盤を実現でき、その費用を取材力の充実などコンテンツ力アップに再投資することで、ますます媒体の魅力が増すという理想的な好循環がそこには存在しました。

雑誌や出版の素晴らしい文化もまた、総じて知的好奇心にあふれる層の厚い生活者が、各々地元の書店で大いに購買したからこそ成立してきました。

大都市では駅を中心に特に稠密な生活者動線が形成されている(写真筆者)
大都市では駅を中心に特に稠密な生活者動線が形成されている(写真筆者)

テレビメディアはその成立から新聞メディアの充実を資本に発展したわけですが、やはりその隆盛も全国ネットでほぼ同時間同内容の放送をほとんどの国民が楽しめる日本の国土の程よい狭さがあってこそ。それは地上波でカバーできないエリアがかなり広範囲ゆえケーブルテレビが普及せざるを得ないアメリカなど大陸国家との比較で鮮明です。

そんな充実した日本ならではのマスメディアの存在は、それに伴う日本の広告市場をも世界有数のものとしてきたわけです。

このメディア・広告セクターの充実も、まさに日本の生活者文化を極みに至らしめた大きなブースター、促進機能であったと言っても非難されないように思います。

メディア植民地化の底知れぬ恐怖

一方でネットの抬頭は、日本のメディア環境に大きなパラダイム変化を与えています。案ずるのは、あれほど隆々としていた日本のメディア企業が、この母国市場においてさえ気が付くとGAFAMやNetflix、Disneyなどにイニシャチブを奪われつつあるのではないかという懸念です。

あれよあれよと、ニュースもスポーツもエンタメも、かなり多くのコンテンツが外国企業のプラットフォームを通して供給される時代になりつつあります。

日本人がコンテンツ、メディア産業での収益モデルのイニシアティブを失えば、プラットフォーマーが良かれと思うコンテンツに結局資金は還流するわけで、終局コンテンツの編成、優先順位さえ決められなくなるでしょう。

グローバルメディアプラットフォーマーによる「メディア植民地」としての日本は、結果多くのアイデンティティを失うように思います。有り体に言えば、「脳をハックされる」と言えば分かりやすいでしょうか。底知れぬ恐怖を感じますが、恐らくその過程はかなり無自覚なものになるだろうとも思います。

グローバル化と言えば聞こえも良いでしょうが、もはやこだわるべき独自性や文化でさえ希薄になってしまえば、こんなにユニークだった日本ならではの生活文化は我々自身にとってさえ歴史上のものになってしまうでしょう。

何といってもそれはあまりにも惜しすぎるというものであって、日本のメディア企業にはまだまだ大いに頑張って欲しいのです。

カギは「信頼性」ではないでしょうか。

ネットメディアの特性としてすべての数字指標を確認できるがゆえ陥りやすい、アクセス数、ページビュー至上主義は、結果すべてのプレイヤーを消耗戦に引き込んでいます。典型的には炎上商法で巨大なフォロワーを稼ぎながらも早々自滅するユーチューバーなどですが、実は伝統的な一流メディアでさえあまりにも可視化され過ぎたメディア接触の数字に踊らされる傾向に変わりはありません。

コロナ報道では一部テレビ情報番組の行き過ぎた煽り的な報道姿勢には、ある意味身内であるだけに本当に危機感を覚えました。発信力に長けた人でさえ一歩間違えばやり過ぎたくなる魔性が、現在のメディア環境には潜んでいるのです。「ガーシーチャンネル」と同じ土俵でアクセス指標を競いあう時代の危うさは、なかなかにシビアなものがあります。


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