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失われた30年に実現した消費文化の絶頂 もっと豊かな「生活者天国」日本へ

「政治は生活だ。」と言ったのは田中角栄だったそうです。

まだまだ上の世代には政治や天下国家を語る人も多く、「鉄は国家なり」の信念に代表される日本産業界の中でもより大きな産業、企業にこそ志ありとの考えも主流でありましたが、もっと卑近な生活に直結する消費文化に関わることにこそ実質的な世の中への影響、貢献があるに違いないというそんな志向性から広告業界に飛び込みました。

もちろん昨今のウクライナ情勢やコロナ危機に直面した状況を鑑みますと、有事においての安全保障や政治運営がのっぴきならない優先順位であることは明らかですし、マーケティングやブランディングなどの取り組みはあくまで平和な世の中を前提にしたものであることをあらためて悟らされました。

それにしては、この国の世襲政治家や官僚、学識者など社会的エリート層の恵まれた出自に起因するこの局面でこそあらわになった「生活感覚」の希薄さに対しては、文句の一つも言いたくなります。

あの徹底した現実主義で「パックスロマーナ」を築いたローマ帝国でさえ、エリート層の世襲化も大きな要因となり終焉を迎えたということを考えると、まったく安閑としません。

失われた30年に実現した消費文化の絶頂

とは言いましても、そんな不安感は所詮現時点においてさえ遠雷のようなものかもしれません。日本人は平成の失われた30年においてさえ、消費生活の黄金期を迎えたのではないかと感じています。(筆者参考記事:平成の生活者天国が実現した理由、そして終わる理由 https://agora-web.jp/archives/2038644.html)

そんな消費生活天国は、何といっても日本津々浦々に店舗がいきわたったコンビニエンスストアに最も表現されています。

もちろん発祥はアメリカですが、セブンイレブンがヨーカドーグループによって日本に紹介された以降の目覚ましい進化発展は、結果セブンイレブンジャパンが本家を傘下にしてしまったほどの成功を日本市場でこそ収めたわけで、そこで売られる多くの製品を含めて同時代の日本人の消費生活を規定するほどの影響力をもつに至っています。

この連載で日本人の生活を取り巻く多くの財サービスを取り上げてきましたが、広義で国民の約9割が都市生活者と認定されるほど「集まって住む」のが好き。。。(都市人口率ランキング https://theworldict.com/rankings/urban-population-rate/)

いや好き好んでというよりは、広くもない国土の2/3以上が森林という恵まれてはいますが、要は人が気軽に住める面積となるとさらに小さい国土で必然、どの地方でも大多数の人が比較的密度の高い生活圏を共有しながら生活してきた日本人の生活スタイルが、この高度を極める消費生活文明の地政的基盤となってきたわけです。とにかく日本人のコンパクトな生活感覚は家でも外でもかなり徹底していると感じます。

件のコンビニエンスストア文化が日本でこそ花開いたのも、“地方”と呼ばれるエリアでさえそれなりの商圏人口と、生活者の活動があるからに他なりません。そんな小売りインフラの活況を支え、また1フェイスからでさえ期待できる巨大な売上を自らの大きなビジネスチャンスにしながら、あの手この手で日々新製品が投入され、刷新される大量の商品群。どんなに豊かな国を旅しても、この類のもはやエンターテインメントまで昇華したかのような、新奇なパッケージプロダクト供給天国は存在しないはずです。

何よりそれもこれも、そんな目新しいアイテムに好んで電子マネーや硬貨の一票を投じる、まさに日本の生活者の選択的な行動の積み重ねが実現した世界です。

「民度」などという言葉は定義も不明確な怪しい言葉とは思いますが、総じて識字率が非常に高く、失業率の低さなどからも働ける人の多くが何らかの社会の生産的な活動に参加する1億数千万人の“民度高き”生活者集団がその稠密な生活動線も相まって生み出した「生活者天国」という他ない世界観は、今や相当な高みに達しつつあるように思うのです。

日本だから成立した「新聞」の巨大発行部数

そんな消費文化の大盛況を一方の情報流通の面から加速させてきたのが、日本のメディア産業であり広告産業です。

昔ギネスブックが日本版を出版していた頃、海外の大新聞と聞いていたニューヨークタイムズやソ連プラウダなどに比べて、日本の全国紙がたたき出していたケタ外れに大きな発行部数を誇らしく感じながらも、なぜそんな偉業が可能なのか不思議に思って眺めたものでした。

それも日本人の比較的狭い生活圏に集まって住む生活様式があってこそ、毎日の新聞宅配を高い効率性でほとんどの地域で成立させるという日刊紙宅配モデル、他の先進国では一部の都市圏を別としてこの徹底度はちょっと真似できないはずです。

もちろんここでも一般世帯での識字率の高さ、教育水準の高さも効いてくるわけです。


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