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「太陽光や風力に頼るほど、火力発電所が不可欠になる」日本で“大規模な電力不足”が起きている本当の事情

PRESIDENT Online

火力発電所がどんどん廃止になっている

異常な暑さが続いている。6月25日には群馬県伊勢崎市で40.2度の最高気温を記録。観測史上初めて、6月に40度を超えた。さらに観測史上最速で、6月中にほとんどの地域で梅雨明けし、今年の梅雨は最短で終わった。本格的な夏を迎えてさらに厳しい暑さが予想されている。

そんな最中、6月26日に政府は、「電力需給逼迫(ひっぱく)注意報」を初めて出した。27日の夕方に東京電力管内の電力需給が厳しくなるとして節電を呼びかけたのだ。厳しい暑さによって電力需要が増え、電力供給の余裕を示す「予備率」が、他社からの電力融通を受けても5%を下回る見通しとなったのが発令の理由だった。

27日の夕方は予備率が7%程度で推移したと見られ、乗り切った。だが、厳しい暑さが続いたことから、28日、29日と立て続けに「注意報」が出された。

いつから日本は電力が足りない国になってしまったのだろうか。それはなぜなのか。異常な暑さが続いている今だけの一時的な問題なのだろうか。

実は、電気が足りない背景には、構造的な問題がある。大手電力会社が持つ火力発電所がどんどん廃止になっているのだ。

新たに稼働した火力発電所の分を差し引きしても、過去5年間で、1600万キロワットも火力の供給力が落ちているというのだ。1600万キロワットというのは540万世帯分に相当するという。今起きている電力不足は、この火力不足が密接に絡んでいる。

太陽光や風力の割合が増えるほど、火力の重要性は増す

これだけ太陽光や風力といった再生可能エネルギーが増えているのだから、火力が減っても電力は賄えるのでは、と思われるかもしれない。だが、電力には発電方法によってそれぞれ「特性」がある。太陽光発電の場合、日照量や日照時間に発電量は大きく左右される。曇りの日が多い冬場には発電量は極端に落ちる。風力にしても風が止めば発電できない。1日の中でも発電量が大きく増減するのが太陽光や風力の特性なのだ。

電気というのは基本的に貯めておくことができないため、その時の使用量に合わせて発電量を増減させる必要がある。電力の需要と供給のバランスが崩れると、電気の周波数が崩れて、電力を正常に供給できなくなり、最悪の場合、ブラックアウトと呼ばれる大規模停電につながる。これを回避するためには、太陽光などで増減する発電量に合わせて、発電量を調整する必要があるわけだが、それを担っているのが火力発電なのだ。

火力はLNG(液化天然ガス)や石炭、石油などを燃やして発電するから、発電量の調整がやりやすい。つまり、再生可能エネルギーの割合が増えてくれば増えるほど、そのバックアップとしての火力の重要性は増してくるのだ。

火力発電所の「休廃止増加」という構造的な問題

ちなみに「注意報」段階よりも予備率が厳しくなると、「電力需給逼迫警報」が発令される。実は、3月22日に東京電力管内と東北電力管内で警報が出された。3月16日に福島県沖で地震が発生。この影響で火力発電所が停止した。東京分110万キロワット、東北分225万キロワットが減り、他社からの融通で賄ったが、3月17日以降、首都圏にある火力発電所でトラブルが発生、134万キロワットが停止した。そこへ、真冬並みの寒さが襲ったため需要の急増が予想される事態になった。

また悪天候で太陽光の発電量も大幅に減っていたため、電力不足が懸念されることとなり、警報発令に至ったわけだ。3月は地震など突発的な事象によって引き起こされた一時的な電力の需給逼迫だったが、その段階から構造的な火力発電所の「休廃止増加」が問題点として指摘されていた。

この時、突然「警報」が発令されたことが人々に混乱を引き起こしたとして、警報に至る前段階の「注意報」を新設。それが6月末に初めて発令されたのだった。


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