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バイデン政権、「枠組み外交」で結束促す 対中長期競争へ

バイデン米大統領は30日、ドイツ、スペインでの先進7カ国(G7)と北大西洋条約機構(NATO)の両首脳会議に関連する全日程を終え、帰国の途に就く。今回の欧州歴訪はバイデン氏にとり、長期にわたる中国との競争を勝ち抜くための基盤整備の一環だった。キーワードは、「枠組み」だ。

29日、スペイン・マドリードでのNATO首脳会議に参加したバイデン米大統領(前列左から2人目)ら各国首脳(AP=共同)
29日、スペイン・マドリードでのNATO首脳会議に参加したバイデン米大統領(前列左から2人目)ら各国首脳(AP=共同)

G7では、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する多国間枠組み「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」を発足させた。途上国が中国の融資で「債務のわな」に陥らぬよう、G7各国が気候変動やデジタルなどの分野で開発を支援する。バイデン氏はその際の演説で、こうした取り組みが「今後の数世代の方向性を決定づける」と述べた。

これだけではない。バイデン政権は昨年1月の発足以降、日米豪印の「クアッド」を発展させ、主なものだけでも英豪との安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」▽5月の訪日時に発表した新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」▽太平洋島嶼(とうしょ)国への関与強化に向けた「青い太平洋におけるパートナー(PBP)」などを次々と生み出した。今回のNATO首脳会議には、日韓豪とニュージーランドの4カ国を「アジア太平洋パートナー(AP4)」として初めて招いた。

〝枠組みラッシュ〟ともいえる手法には、成果をアピールしやすいという計算もあるとみられる。だが、より重要なのは固有の名称を持つ「器」を用意することで関係国の結束を促す点にある。

米シンクタンク「新アメリカ安全保障センター」のリサ・カーチス上級研究員は「G7のどの国も、国営企業による投資が中心の一帯一路に対抗することは不可能」とし、「集団的に民主国家と組むことの魅力を提示する」重要性を強調する。バイデン政権が進めようとしているのが、こうした外交だ。

ただ、大半の枠組みの具体的な取り組みはこれからで、本格的に軌道に乗せるためには政権運営の安定が欠かせない。米国内では現在、ロシアのウクライナ侵攻を一因とする物価高への不満などからバイデン氏の支持率は40%を切っている。野党・共和党ではトランプ前大統領がなお強い影響力を持つ。人工妊娠中絶や銃規制などをめぐる保守派とリベラル派の対立は一層激しさを増している。

G7とNATOの華々しい外交舞台から帰国するバイデン氏を待つのは、政権の行方を占う11月の中間選挙に向けた厳しい現実だ。(マドリード 大内清)


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