インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷などの違法有害情報対策を議論してきた総務省の有識者会議は30日、大手IT事業者が会員制交流サイト(SNS)などで投稿を削除する際の透明性を確保するため、削除基準などについての法的枠組みの導入を求めることを柱とした報告書を取りまとめた。総務省は今後、事業者の違法有害情報対策について、事業者の行動規範や政省令などルール策定を進める。
ネット上では、人の名誉を傷つけたり、プライバシーを侵害したりする書き込みが多く見られており、事業者は投稿の削除などの対策を取っているが、取り組みの開示が不十分な事例もあった。
そのため、総務省はヤフーやLINE(ライン)、米グーグル、メタ(旧フェイスブック)、ツイッターの5社に対して、投稿の削除要請を受けた場合に対応する部署の有無や、誹謗中傷の投稿をした人の情報を開示した件数の公表などを求める調査を実施した。
しかし、グーグル、メタ、ツイッターの3社は対応部署に関する情報などを開示せず、30日に取りまとめた報告書は「透明性・アカウンタビリティ(説明責任)の確保が十分とはいえない」と指摘。その上で、違法有害な投稿を削除する体制の確保や、なぜ削除したのかといった透明性の確保に向けて、総務省に対して「法的枠組みの導入などの行政の関与を速やかに具体化することが必要」と強調した。
今後の法的枠組みルの導入にあたっては、会議の有識者から「各国共同で投稿の削除基準などのルールを作る必要があるのではないか。また、例えばツイッターでアカウントが凍結されたときに、その理由を開示させるようにすべきだ」といった意見が出された。(大坪玲央)