ウェブサービス利用規約の留意点

Bizクリニック

 □グローウィル国際法律事務所代表弁護士・中野秀俊

 ウェブサービスにとって、利用規約は契約書の代わりになるもの。利用者とトラブルになったときのよりどころにもなる。その規約をどのような内容にすべきだろうか。

 規約など誰も読んでいないから、事業者側に一方的に有利な文言を入れてしまおうと思うかもしれない。しかし、以下の2点で注意が必要である。

 1つは、当該規定が無効になってしまうリスク。例えば「当社は、本サービスの利用に関し、ユーザーに対し一切の責任を負わない」といった条項は無効になる可能性が高い。なぜなら、消費者契約法という消費者を保護する法律があり、同法では(1)事業者の損害責任を全部免除する条項(2)事業者に故意または重過失がある場合に、損害賠償の全部または一部を制限すること-を無効と規定しているからだ。

 もう1つは、利用規約が元でサービス自体がインターネットで「炎上」してしまうリスクだ。2014年9月に、ユニクロのオリジナルTシャツ作成サービス「ユーティーミー(UTme!)」が大炎上した。同サービスの利用規約に、ネットユーザーがユーティーミーでつくったオリジナルTシャツの著作権が、すべてユニクロに無償譲渡されてしまう規定が入っていたからだ。この利用規約にユーザーからの批判が殺到し、わずか1日で「著作権は、ユーザーに帰属する」という規約変更を余儀なくされた。

 ウェブサービスの利用規約は、紙の契約書と違い、いつでも誰でも(サービスを利用しない人でも)見られる。誰かが規約の問題点に気づき、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで拡散し、便乗する人が出ると「炎上」は起こり得る。

 この2つのほか、利用規約の条項で気を付けるべきポイントに「禁止事項」と「免責」がある。禁止事項では「ユーザーにこれをされたら、困る」という行為を列挙する。併せて、ユーザーが禁止事項に抵触する行為をしたときの制裁も規定しておくといい。

 また、ウェブサービスのすべてのトラブルについて事業者が責任を負っていたのでは、サービスを継続できないので、事業者の責任を回避する「免責規定」を置く必要がある。

 免責規定は「一切の責任を負わない」という規定だと無効になる可能性があるので、「当社に故意もしくは重過失が存する場合、またはユーザーが消費者契約法上の消費者に該当する場合には適用しない」といった規定にする。事業者の損害賠償額はリスク回避のため、「本サービスの利用に関し当社が損害賠償責任を負う場合、ユーザーが当社に本サービスの対価として支払った総額を限度額として賠償責任を負うものとする」といった上限規定を設けるべきである。

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【プロフィル】中野秀俊

 なかの・ひでとし 早大卒。2009年から法律事務所勤務。11年にフロンティア法律事務所移籍。16年4月にグローウィル国際法律事務所を設立し現職、同時に企業経営の課題を解決するみらいチャレンジを設立し代表取締役。大学の時にIT関連で起業した経緯から、IT・ウェブ企業の法律問題に精通している。32歳。埼玉県出身。