シャープ、給与一律カット見直しへ 人事評価改め、社員の努力促す
台湾・鴻(ホン)海(ハイ)精密工業傘下で経営再建を目指すシャープの戴(たい)正(せい)呉(ご)社長は21日、産経新聞の取材に対し、全社員を対象に実施している給与カットを9月支給分から見直す方針を明らかにした。今後は、より成果を重視した人事評価に改め、社員の努力を促す。
鴻海グループ副総裁の戴氏は、13日付でシャープの社長に就任した。21日に堺市のシャープ本社で幹部会議を開き、中長期の経営方針などを議論。夏季休暇明けにあたる22日、就任後初めて全社員に向けて経営方針を伝え、新体制を始動させる。
シャープは平成24年に巨額赤字を計上して以来、全社員を対象にした給与、賞与カットを繰り返している。27年8月からは管理職で5%、一般社員2%の給与の減額をしている。
産経新聞の取材で戴氏は、こうした給与の一律減額を見直す一方で、自身のシャープ役員としての報酬は受け取らない意向を明らかにし、「私は鴻海の役員でもある。今はシャープの再建をやり遂げたいという思いだ」と述べた。
シャープでは、経営危機と買収交渉の長期化で同業他社などへの人材流出が続き、再建への影響が懸念されており、実績をより評価する給与システムを取り入れ、優秀な人材を確保する。
戴氏は台湾の電機メーカーでの日本駐在を経て、昭和61年に鴻海に入社。日本語が堪能で、鴻海の郭(かく)台(たい)銘(めい)会長の右腕として、日本企業とのビジネスでの交渉役を務めてきた。
シャープの新経営陣9人のうち、鴻海は戴氏を含む6人を指名、シャープ出身者は3人。10月末をめどに新たな中期経営計画をまとめ、鴻海主導で再建を進める。