石油元売り業界再編に暗雲 出光合併延期 JX統合審査に影響も
石油元売り2位の出光興産と5位の昭和シェル石油が来年4月の合併を延期したことで、政府が主導する国内石油元売り業界の再編に暗雲が漂っている。少子高齢化やエコカーの普及でガソリン需要の減少に歯止めがかからず、合従連衡による経営の強化は喫緊の課題だ。ただ昭シェルとの合併を反対する出光創業家に政府は有効な手を打てず混乱収拾の糸口は見えない。
「合併はうまくいってほしいが、事態の打開は事業者側に任せるしかない」。経済産業省の幹部は出光のお家騒動に言葉を濁す。
「個別案件には関与しない」というのが経産省の表向きの理由だが、出光が政府の反対を押し切り国際的に孤立していたイランから、秘密裏に大量の石油を安く買い付けた1953年の「日章丸事件」以来、連綿と続く距離感が透けてみえる。
だが、元売り業界の再編は待ったなしだ。経産省によると、国内のガソリン需要は毎年2%程度の減少が続いており、2020年度には今年度比で1割程度減る見通し。地方では給油所の倒産も相次いでいる。
ガソリンを供給する元売り業界は大手5社がせめぎ合い、製油所の稼働率を維持するため供給過剰を招く悪循環に陥った。原油価格の下落で高い時期に仕入れた石油の在庫評価損も発生し、業績は低迷している。
世耕弘成経産相は「元売り業界が国際社会や日本の需要減少のなかで生き残るには、再編は避けて通れない」と指摘する。経産省は供給過剰を解消するため「エネルギー供給構造高度化法」に基づき製油所の統廃合を求め、元売り各社に合併を促してきた。
それが、出光と昭シェルの合併がさらに見通せなくなったことで、同時に進む首位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油の経営統合にも狂いが生じる恐れがある。各社の統合を審査する公正取引委員会は業界全体の競争環境を精査しているが、JXと東燃の統合が先行すれば業界に1強が誕生することになり、審査の前提が変わるためだ。
元売り業界からは「国主導で進む再編なのだから、出光創業家の説得も国が当たってほしい」(大手幹部)と恨み節も漏れている。
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