マツダ、新技術で国内テコ入れ 主力2車種を一部改良、販売回復狙う
マツダが国内販売のてこ入れを急いでいる。昨年5月から新型車投入が途絶え、今年8月まで11カ月連続で前年割れが続いているためだ。14日には小型車「デミオ」とスポーツ用多目的車(SUV)「CX-3」を一部改良し、それぞれ11月17日、同24日に発売すると発表。国内登録車販売の半分を占める主力2車種に乗り心地を良くする最新技術を入れることで商品力を高め、販売回復につなげる。
「改良車の投入をてこに11月からの国内販売で前年実績を超えていきたい」
マツダで国内営業を担当する福原和幸常務執行役員は14日、横浜市内で開いた会見でこう述べ、巻き返しに意気込みをみせた。
今回の改良では、見た目は変えず、ハンドル操作に応じてエンジン出力を調整し走行時の安定性を高める同社独自の技術を新たに追加した。この技術は7月以降に部分改良して発売した小型乗用車「アクセラ」と乗用車「アテンザ」にも搭載。走行の安定性が確保され、運転手が疲れにくくなるなど変更後の特性を訴求した結果、改良後の販売はアクセラが改良前の1.7倍、アテンザが1.4倍となるなど実績も現れはじめている。このため、最量販車種のデミオ、CX-3にも、価格を据え置きながら同じ技術を入れ込む変更を加え、商品価値を高めた。
自動車メーカーは通常、新車投入から時間が経過し売れ行きが悪くなると、販売会社に対し値下げ原資としてインセンティブ(販売奨励金)を投じるケースが多い。しかしマツダは値下げをすると、下取り価格も下がり、結果的にブランド価値の毀損(きそん)も招きかねないとして極力値引きしない営業手法を基本方針とする。福原常務執行役員も「販売奨励金に振り向ける分は商品力を高める投資に使う」とし、ブランド力を高める戦略で固定客の取り込みを加速させると言い切っている。
ただ、最新技術を一部改良の度に前倒しで取り込めば、需要の先食いで4~6年間隔の全面刷新の際の販売にも影響を及ぼしかねない。全面刷新時に、期待値を上回るデザインや性能を打ち出せなければ需要喚起の効果も薄れ、“もろ刃の剣”となる可能性もある。(今井裕治)
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