【2017成長への展望】ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正さん(67)
■ユニクロ即日配送は年内に首都圏で
--トランプ効果で国内は円安株高だが、消費動向に変化は出ているのか
「大きな変化はない。消費者が買い物をしなくなっている。アパレルは途上国で売れているが、先進国では不況だ。国内は節約志向が強まっており、必要のない商品は買わず、吟味して購入する傾向がある」
--なぜ、先進国で販売が厳しいのか
「アパレルは同じような商品ばかりで、ほかの商品に魅力で負けている。差別化を図らないと、世界で生き残れない。グローバルブランドとして、ニューヨークやパリ、ロンドンなどの情報発信地で、世界に波及するポジションを確立する必要がある」
--昨年はユニクロで値下げを実施したが、値上げの可能性は
「当面は現在の価格を維持する。すでに金融政策の賞味期限は過ぎており、構造改革や成長戦略を進めないと、消費者はお金を使ってくれない」
--トランプ氏の米大統領の就任で、保護主義が強まりそうだが、海外展開で戦略変更は
「今後も変わらない。国内市場が縮小する中で、グローバル化以外に生き残る道はない。これから中国、香港、台湾のグレートチャイナ、東南アジア、ロシア、欧州、カナダで積極的に出店する。米国も主要都市には出したい。海外は年間300店舗程度増やす」
--アマゾンジャパンや「ゾゾタウン」などインターネット通販が衣料品業界で台頭してきたが
「プライベートブランド(PB、自主企画)商品も展開しており、将来的には、アマゾンが大きなライバルになる」
--東京・有明に物流センターを建設しているが、ユニクロでの即日配送サービスは
「年内に首都圏で始めたい。ネット通販で注文した商品をユニクロ店舗で受け取れるサービスも年内に展開する。ファミリーマートやローソンの店頭での受け取りサービスも検討している」
--AIの導入で働き方も変わるのか
「国内では人手不足が懸念されており、効率的な働き方をする必要がある。例えば、顧客が来店した際に購入履歴をもとにした商品情報がスマートフォンに自動表示される仕組みの導入など考えている」
--2020年度の売上高5兆円の目標を先延ばしした
「将来的には実現したい。20年度の売上高3兆円は海外展開やデジタル化の推進、『GU(ジーユー)』の拡大で、努力すれば、達成可能だ」
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【プロフィル】柳井正
やない・ただし 早大政経卒。1972年小郡商事(現ファーストリテイリング)入社。取締役、専務を経て84年社長、2002年会長。05年9月から会長兼社長。山口県出身。
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