18年卒の就活が本格スタートへ 省エネ就活で学生のアピール力低下、企業の満足度下がる

 
リクルートキャリア就職みらい研究所・岡崎仁美所長

リクルートキャリア就職みらい研究所・岡崎仁美所長

 2018年の新卒予定者が対象となる就職・採用活動が、3月1日から本格的にスタートする。17年の新卒予定者に向けた採用活動は好調な企業業績を背景に活発化したが、同様の基調が続くとみられる。リクルートキャリアの研究機関である就職みらい研究所の岡崎仁美所長に、前年の振り返りとともに今年の展望について聞いた。

省エネ就活の弊害

 --前年の特徴は

 「3月に号砲が鳴ったら一気に駆け抜ける必要がある『まっしぐら就職』だった。説明会への参加にもすぐに申し込まなければならないし、エントリーシートの締め切りも3月末にピークを迎えるなど、集中的な活動を強いられたからだ。従来は時間的に余裕があったため幅広く会社研究を行えたが、現在は難しい。大学側は『もっと視野を広げよう』とアドバイスするが、『こんなに忙しいのに、そんなことは考えられない』と学生から強く反論された、といったエピソードをよく聞いた」

 --これによって、どういった事象が顕在化したのか

 「企業の採用人数が増えるなど就職活動をめぐる環境が楽になったこともあり、学生が自らをアピールする力が低下。結果として企業側の質的な満足度が下がった。また、『私のどこを評価したのか』と不安を抱く“内定ブルー”も目立つようになってきた。省エネ就活ができたのかもしれないが、今回の採用活動は納得感の醸成にはマイナスに働いたようだ」

中小中心に危機感

 --企業にも新たな対策が求められそうだ

 「働くというよりも、入社に対するモチベーションを改めて上げることに注意を払っている感じだ。ある社長は内定式の訓示の段階で『今年の学生からは、本当に入社したいといった意欲が十分に伝わってこない』と瞬時に判断し、気分を盛り上げるスピーチに切り替えた」

 --こうしたミスマッチを解消するには何が必要か

 「インターンシップ(就業体験)だ。参加した学生は『この業界は想像していたのと違う』『ぜひこの業界に入りたい』『社会人はこういった思考回路なのか』といったことを理解して就職活動を行え、満足度が高まる可能性が大きいからだ」

 「17年の新卒組を対象にした調査では、就職を希望する学生のうち43.7%がインターンシップに参加した。短い時間でも仕事を理解できる体系化したプログラムというのが、インターンシップの特徴。参加することが直接的に有利というケースもあるかもしれないが、本格的な就職活動に向けて助走できるという面で大きなメリットがある」

 --18年の新卒予定者の活動見通しは

 「前年は採用したくてもできないケースが目立ったが、今年も中小企業を中心にかなり危機感を募らせている。採用コストやマンパワーが増えると予測する企業も多い。需給バランスでみれば、企業には厳しく、学生には恵まれた環境の中で採用・就職活動が進む可能性が高い」

【プロフィル】岡崎仁美

 おかざき・ひとみ 京大農卒。1993年リクルート入社。リクナビ編集長などを歴任し、2013年から現職。46歳。香川県出身。