ゼロックス会長ら退任 富士フイルム不正会計で引責 第三者委、隠蔽指示を認定
富士フイルムホールディングス(HD)は?日、海外子会社で利益を水増しする不正会計が発覚した富士ゼロックスの山本忠人会長ら幹部5人が責任を取って退任する人事を発表した。同時に公表した第三者委員会の調査報告書は、売り上げ至上主義の社風で業績達成への強いプレッシャーがあったと指摘。副社長ら経営幹部による不正会計の隠蔽指示も認定した。
事業への影響を考慮して報酬カットにとどめた社長を除き、副社長や専務執行役員らも一斉に退任して経営執行体制を刷新する。親会社である富士フイルムHDの古森重隆会長と助野健児社長も月額報酬の10%を3カ月間返上する。
東京都内で記者会見した助野社長は、不正会計や決算発表の遅れを謝罪した上で「売り上げ目標はあるが、過度のプレッシャーはない。不適切なことをしてまで達成するものではない」と釈明した。
調査報告書によると、富士ゼロックスでは日本国内の市場が伸びていないため、アジア・オセアニアの売り上げを伸ばす方針が取られ、厳しい目標が設定されていた。告発メールによって不正の疑いが持ち上がった後も、副社長らは「(グループ内での報告に)まずは問題ないと書け」と部下に指示するなど、隠蔽を図ったと認定された。
内部管理を強化するため、富士ゼロックスの会長を古森氏が兼任するほか、富士フイルムHDの社外取締役を現在の2人から3人に増やす。
不正会計は、富士ゼロックスのニュージーランドとオーストラリアにある販売子会社で見つかった。コピー機のリース契約に関し、想定以上の利用を見込むことで売り上げを過大計上するといった手法で、最終利益が過去6年間で計375億円水増しされていた。問題の両社で社長を務めた元社員については、刑事告訴を検討するという。
富士フイルムHDは開示が遅れていた2017年3月期連結決算を12日に発表し、売上高は前期比5・6%減の2兆3221億円、最終利益は18・0%増の1315億円だった。12年3月期から16年3月期の決算を修正し、月内にも公表する方針だ。
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