サンマ漁獲枠新設、中韓露と対立 日本の提案実らず NPFC発足2年で早くも壁
サンマの漁獲規制を議論した北太平洋漁業委員会(NPFC)が15日、閉幕した。日本は乱獲が行われているとして国・地域別漁獲枠の新設を提案したが、中国、韓国、ロシアと見解が対立、議論は深まらなかった。NPFCは発足から2年で早くも壁にぶつかった。
台湾は支持
各国の交渉担当者が会場から出てくる中、中国の担当者の険しい表情が際立った。漁獲量首位の台湾は枠新設を支持したが、反対国の声にかき消された。日本政府の担当者は「疲れた」と漏らし、会場を後にした。
漁獲枠の新設に対しては専門家の間でも「難しい」との見方が多かった。中国などと日本では漁場や漁の仕方が違うためだ。中国や台湾が漁場とするのは主に日本の沿岸から400キロ以上離れた海域。大型船で数カ月通して漁を行い、魚は船上で冷凍する。一方、消費者が鮮度を重視する日本は小型船による沿岸漁で、その日のうちに帰港して生のまま水揚げする。
漁の差は漁獲量に反映し、2013年には台湾が日本を抜き首位に立った。16年は台湾14万6000トン、日本11万4000トン、公海での数値しか公表していない中国が6万3000トン。各国間では漁獲枠の取引もある。違法操業も横行するなど実態は不透明な部分が多く、利害関係は複雑だ。
日本のサンマ漁は先細りが顕著だ。北海道釧路市の道東小型さんま漁業協議会の大坂秀実専務によると、漁獲量はここ6、7年、全国的に減少し、同漁協も約10年前2500~3000トンあったのが昨年は約3トンに激減。多くの漁師がサンマを諦め他の魚種に切り替えた。大坂氏は「極端に悪かった」と嘆く。
日本の沿岸は海水温が上がり、サンマが寄りつかなくなっているが、小型船の日本の漁師は遠洋まで行けず、勝負にならないのが実情だ。
漁獲量の減少で水揚げ時の単価は上昇。16年の10キロ当たり2131円は11年の2倍近い。スーパーなどの店頭価格も上がり、消費者からは「前は1匹100円しなかったのに最近は高い」(埼玉県鶴ケ島市の女性会社員)とため息が漏れる。
今後の交渉難しく
交渉の先行きは容易でない。政府関係者も「なかなかまとまりそうにない」と明かし、中国などの出方次第では、日本の苦境はさらに深まるとの見方を示した。
東北区水産研究所の木所英昭浮魚・いかグループリーダーは「さまざまな自然要因が考えられ、乱獲だけが原因とはいえない。逆に中国などは『資源が減ったのは日本が取りすぎたからだ』と考えている」と指摘する。
合意を期待していた国内の産地には失望が広がった。北海道さんま漁業協会の松田一志専務理事は「このままでは一部の漁業者が生活できなくなる。抜本的な対策が必要だ」と訴えた。
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