【広報エキスパート】グループの情報発信、ぶれずに
□ポーラ・オルビスホールディングス取締役コーポレートコミュニケーション室長・藤井彰氏
--シワを改善する薬用化粧品が大ヒットしています
日本で初めて承認されたシワ改善化粧品「リンクルショット メディカル セラム」(20グラム、1万6200円)が今年1月1日の発売以来、半年で約62万個、売り上げは約87億円、修正年間目標125億円を上回る勢いです。エイジング意識が高い30~40代の女性が増えていること。そして何よりも「シワを改善する日本初の化粧品」という訴求が、これまで全くポーラに縁のなかった、たくさんの新しいお客さまの購買に結び付いたことが要因です。
--記者発表は昨年夏でした
これまでの化粧品は「乾燥によるシワを目立たなくする」という表現にとどまり、「シワを改善する」という効能表現は認められていませんでした。当社が昨年、厚生労働省から「シワを改善する薬用化粧品」として認可を受けました。そのお知らせと発売時期などについて7月、記者発表しました。新聞、テレビ、雑誌など多くの記者に集まっていただきました。その後、年末からの大型プロモーション活動やメディアでの露出、またその効果実感から、この上半期の美容雑誌、ファッション雑誌の化粧品グランプリを独占しています。
--商品のヒットは他分野にも波及しているとか
美容、美術、美食の3つの「美」を備えた「ポーラ銀座ビル」の来館者が増えています。さらにポーラ美術振興財団が運営する箱根のポーラ美術館の来館者が前年比1.5倍になるなどの波及効果があり、当社グループのブランド力アップにつながっています。
--こうしたなか、グループのミッションを刷新しました
新しいミッションは「感受性のスイッチを全開にする」です。2029年の創業100周年に向けて、「美」を提供する企業として、これまで以上にお客さまが求めていることにお応えしたいと再構築した際、生まれてきた言葉です。わき上がる好奇心や心に響く新たな出会いや発見、こうした人々の感受性を刺激し、人生を変えるほどのきっかけを与える存在になりたい、という思いを示したものです。
スイッチ、全開などミッションの言葉としてはユニークと、メディアで話題になりました。
--80代、90代のビューティーディレクターの活躍が話題に
「ポーラ ザ ビューティー」を中心に20~30代の若いビューティーディレクターが活躍する一方で、90代の方が約300人、80代の方約2600人が、お客さまのよき相談相手としても活躍しています。定年のない働き方が、女性の活躍ぶりを紹介する女性誌などに取り上げられることが多く、それがまた広報として追い風になっています。
--広報体制は
コーポレートコミュニケーション室は、広報、IR(投資家向け広報)、CSR(企業の社会的責任)グループで総勢14人です。ポーラ・オルビスグループとして情報発信をぶれないようにすることがホールディングス広報の使命です。リスク管理も広報業務の一つですが、大切なことは「見える化」です。リスク発生部門に情報が滞ってしまうことのないよう、グループ社員約4000人の情報共用化とともに風通しの良さに注力していきます。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)=随時掲載
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【プロフィル】藤井彰
ふじい・あきら 1979年関西学院大経卒、ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。多様化企画拡販部長、大阪ポーラ代表取締役社長、ポーラ化粧品本舗取締役広報部長などを経て、08年ポーラ・オルビスホールディングス取締役グループ広報室長兼ポーラ取締役。15年から現職。
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