神鋼、鋼線など9製品でも不正 納入先500社に拡大 社長「慎重に進退判断」
アルミ製品などのデータを改ざんしていた神戸製鋼所は13日、特殊鋼など9製品で新たに不正を確認したと発表した。強みを持つ鉄鋼事業の主力製品にも偽装が広がった。過去にデータ改ざんを行ったグループ会社2社でも不正が判明。再発防止が不十分だったことが鮮明になった。
9製品の不正のうち、4製品は過去に取締役会で把握しながら公表していなかった。情報開示姿勢に批判が出るのは必至だ。
これまで分かっているアルミと銅、鉄粉、液晶画面材料を含め、問題製品は計13製品に拡大。約200社としていた納入先は延べ約500社に増えて事態はさらに深刻化した。中国やタイなど海外拠点で生産した製品でも、検査データを改ざんしたり、必要な検査を実施していなかったりした。
川崎博也会長兼社長が東京都内で記者会見し、「顧客と消費者のみなさまに多大なご迷惑をお掛けし、あらためておわび申し上げます」と謝罪した。まずは問題の原因究明と再発防止策の策定に力を入れるとした上で「その後、進退の議論はあるかもしれないが、慎重に考えたい」と述べた。
川崎氏は、問題製品の納入先がリコール(回収・無償修理)を実施した場合の負担について「ユーザーが負担したコストは相談になるが、その腹づもりはある」と述べた。川崎氏が一連の不正発覚後に記者会見を開いたのは初めて。
新たに判明したのは、東京電力福島第2原発に神戸製鋼の子会社が納入した銅合金の配管や、アルミ合金線、特殊鋼など9製品で、取引先と決めた仕様を満たさないデータを書き換えるなどしていた。
特殊鋼は鉄にマンガンなどの元素を添加して強さや硬さを増した製品で、自動車や航空機のエンジン、スマートフォンなど幅広い用途で使われる。
データ偽装を再び行っていたのは日本高周波鋼業と神鋼鋼線ステンレスの2社で、顧客と取り決めた検査結果の改ざんをしていた。
川崎氏は12日、記者団の取材に新たな不正について「国内と海外で疑わしい事例が網にかかっている」と説明していたが「鉄は入っていない」と話していた。
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