(2)出荷先の企業は「500社…」に会見場からどよめき
神鋼会見詳報《データ不正案件が次々と明らかになった神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長らに対し、厳しい質問は続く。川崎氏は12日、経済産業省で記者団に対し、「鉄鋼事業ではない」と話していたが、その翌日の会見で銅線や特殊鋼で4件の不正が公表されたことに、疑問の声が相次いだ》
川崎氏「隠していたわけではない。コンプライアンス(法令順守)問題という取り扱いで取締役会でも取り上げられた。損益の影響にならない、法令違反ではないということで公表はしなかった。ではなぜ公表したのか。それは、一連の不適切な行為を考えるときに現在進行中だけで分析するのではなく、過去分もどうであったか、本質的な原因を分析するには避けて通れないからだ」
《川崎氏はこの公表を前向きなものだと捉えているようだが、記者側は「単なる隠蔽」と感じており、やり取りはまったくかみ合わない》
--昨日は、テレビカメラ十数台あった中で、この事案を知っていたのにとぼけたのか
川崎氏「鉄鋼事業ではないと申し上げたのは、4月以降の監査、9月から自主点検の連続性の中では現認されていないということだ。ご理解いただきたい。何回言っても理解してもらえないかもしれないが」
《議論がかみ合わない状況に、質問した記者からは「社長としてどうか」との指摘も出た》
--神戸製鋼はこうした不正を公表しないのが普通か
勝川四志彦常務執行役員「お客さまとの間で状況、中身を話し合う中で問題を解決した」
《出荷先企業がこれまで公表していた213社から、どの位に増えたのかも注目された》
--出荷先企業は、これまでの発表と合わせて何社になったのか
勝川氏「今のところ270社程度」
《しかし、次の質疑が行われているときに勝川氏は「すみません、先ほどの話ですが、500社でした」と修正。あまりの違いに会見場からはどよめきが起きた。270社は、新たに増えた数だったようだ》
--川崎氏の進退はどう考えるか
川崎氏「昨日も申し上げたように、今は対策や安全性の検証が最優先だ」
《さらに記者は食い下がったが、川崎氏は「それはまた、慎重に考えたい」と最後まで明言を避けた。現時点では、業績の影響が大きくないとみていることが背景にあるようだ》
--信頼失墜や費用負担で、企業として存続できるのか
川崎氏「売り上げに占める(不適切な案件が出た事業の)割合は4%。残りの96%は品質の生データと合致している。ユーザーの皆さんからどういう声があるかわかりませんが」
《神戸製鋼は、自動車の軽量化を進めるメーカーにアルミなどを提供し、収益化をはかってきた。そういう戦略についても「現段階で変更がない」と言い切った》
《調査される対象であるはずの川崎氏が、品質問題調査委員会のトップを務めていることに、疑問の声も出たが、川崎氏は反論。「調査範囲の広さ、スピード感を考えると私がトップになってリーダーシップを発揮する必要がある。外部の弁護士さんが入って公平性を担保する。ただ、さらなる透明性を問われたときは他の委員会が必要になるかもしれない」と強調した》
--グループ企業でも広く不正が行われている。誰の指示か
川崎氏「その分析がキー(鍵)であると考えているが、徹底した原因分析をしている。原因は調査中だ。これだという明確な回答はない」
《原因に関する謎は、会見で逆に深まるばかりだった》
■(3完)「風土的なもの感じられても仕方ない」 不正はBtoBに集中 に続く
■神鋼、鋼線など9製品でも不正 納入先500社に拡大 社長「慎重に進退判断」 を読む
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