NTT、使用済み携帯で東京五輪メダル リサイクル金属を活用
2020年東京五輪・パラリンピックで使用する約5000個の金・銀・銅メダルを、全国各地から集めた使用済みの携帯電話や小型家電から抽出したリサイクル金属でつくるプロジェクトが進んでいる。五輪のメダル製作へのリサイクル金属の部分活用には前例があるが、本格的な活用は初めてとされる。NTTグループが回収した携帯電話の端末は100万台を超えたが、まだ目標の3分の1程度。持続可能で環境に優しい五輪・パラリンピックの実現に向けて、プロジェクトの進捗(しんちょく)が注目される。
東京2020組織委に協力
プロジェクトはNTTグループや一般財団法人の日本環境衛生センター、環境省、東京都などが東京2020組織委員会に協力する形で進められている。
携帯電話などには金、銀、銅やレアメタルなど貴重な金属が内蔵されている。このため、不要になった携帯電話や家電は「都市鉱山」と呼ばれており、今回の企画は「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」として4月に立ち上げられた。ドコモショップ東京駅大手町店(東京都千代田区)で行われた開始記念イベントには、競泳の北京、ロンドン、リオデジャネイロ五輪メダリストの松田丈志氏とリオデジャネイロ・パラリンピックメダリストの山田拓朗氏が駆けつけた。
リサイクル金属の抽出方法は次の通りだ。
集められた携帯電話や小型家電を物流拠点に送り、電池や液晶ディスプレーを外す。そして端末本体や充電器など細かく分別された後、基盤とプラスチックに解体する。基盤を溶かしたり、熱でプラスチックを油化することによって残渣(ざんさ)から金、銀、銅を回収する。
金の精錬に関しては、リサイクル率100%を目指しているという。回収するドコモは、精錬などリサイクルの過程を端末ごとに管理・把握しており、トレーサビリティー(追跡可能性)を確保しているのが特徴だ。
使用済みのスマートフォンを含む携帯電話、タブレット端末は、全国に約2400あるドコモの販売店で、今年4月から回収を受け付けている。東京五輪・パラリンピックのパートナー企業を中心に法人にも回収を呼びかけており、これに応じた日本郵便は9月、全国の郵便局で使われていた携帯電話約3万台を提供した。ドコモは、他の携帯電話会社で契約されていた端末を含めて回収している。
このほか、パソコンやデジタルカメラなど、主に小型家電リサイクル法に基づく28品目については、プロジェクトに協力する1000以上の地方自治体や、日本環境衛生センターが回収している。参加自治体には東京都の町田市や西東京市、千葉県船橋市、埼玉県越谷市などがある。
「持続可能な社会」目指し
金・銀・銅メダルをリサイクル金属で製作するというこのプロジェクトは、東京五輪・パラリンピックの理念に基づき、「持続可能な社会」を目指す国民運動と位置づけられている。このため、NTTグループは7月から、主に小学6年生を対象とした「携帯リサイクル教室」をスタート。全国の主要都市で年間50校程度を対象に、担当者が小学校を訪れ、プロジェクトの紹介や携帯電話のリサイクルの意義について説明する。「ケータイりさいくるって?」という啓発絵本や端末の分解標本を持ち込み、理解を促している。
ドコモの携帯電話の回収は、順調に増えており、6月末までに約74万台が集まった。8月4日に開かれたNTTの2017年4~6月期連結決算の発表会見で鵜浦博夫社長は、「年度内(18年3月末まで)には、携帯電話300万台を集めたい。もう少しアップテンポにならないかな、と思う。ユーザーの皆さんにさらなるご協力をお願いしたい」と述べ、回収を加速させたい思いをにじませた。その後、回収台数は100万台を超えたとみられている。回収は2019年春ごろまで行う予定だ。(高橋寛次)
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