イオン、環境配慮の枠組み参加へ 加工食品使用のパーム油 国内小売り初
加工食品に広く使われている「パーム油」の生産過程で環境破壊や児童労働が世界的な関心事になっているのを踏まえ、イオンと日本生活協同組合連合会(日本生協連)が、人道的に生産されたパーム油の購入を促進する国際枠組みに参加する方針を固めたことが分かった。この分野で日本企業は大きく出遅れており小売業では初めて。両者の判断をきっかけに、国内企業でも対応が広がる可能性もある。
イオンと生協連が加入を決めたのは「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」。欧州食品大手ネスレ、米流通大手ウォルマート・ストアーズなど世界の約3600社が参加している。原料のアブラヤシの栽培から製油までサプライチェーンを透明化し、人権や環境に配慮した製品に認証を与えている。欧州連合(EU)ではRSPOの規格が事実上の標準として取り扱われており、割高だが、欧米では取引条件になっているケースも多い。
イオンは2020年までにプライベートブランド(PB)製品に使用するパーム油を全て認証製品に切り替える。生協連も同様の対応を検討中。両者とも仕入れ先のその他の製品までは認証取得を義務付けない方針だが、仕入れ先側でも自発的な取り組みが進む可能性がある。
パーム油は東南アジアが主産地。多くの加工食品に「植物油脂」として使われている。新興国の経済成長で需要が急増し、耕作面積が拡大。原生林の伐採や児童労働が国際問題化し、EU欧州議会が適切なサプライチェーンによるパーム油以外の輸入禁止を決議するなど対策が広がっている。
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【用語解説】パーム油
食用油では、菜種油や大豆由来の油を抑え、世界で最も多く消費されている。面積当たりの収穫量が他の植物油より多く、値段も安い。主産地はマレーシアとインドネシアで、両国で世界の生産量の約9割を占める。ポテトチップスやスナック菓子を揚げる際や、パン、洋菓子、アイスクリームなどの食感を滑らかにするショートニングとしても使われる。
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