「私の空き時間買いませんか?」 副業のWEBサービスが人気 交流広げるツールにも

 
自分の空き時間を活用してサイドビジネスができるWEBサービスが増えている。対面はもちろん、スカイプなどのオンラインでも可能だ(写真はイメージ)

 ここ2、3年、副業を解禁する企業が増えており、副業がちょっとしたブームになっている。副業を始めたい。本業以外の収入がほしい。こういう方は多いのではないだろうか。副業をやってみたいけど、何をやればいいのか。そう戸惑っている方は、まず第一歩として、自分の空き時間を売ってみてはどうだろうか。ちょっとした時間を販売でき、副収入を手にすることができるWEBサービスが、いま増えている。

「個人」としての評価が励みになる

 その一例が「タイムチケット」。これは誰でも自由に時間を売買できるサービスである。30分単位で自分の空き時間を販売することができ、反対に購入することも可能だ。

 現在、ユーザー数は7万5000人。月に1000件のチケットが売買されている。副業ブームも手伝って、今年に入って販売数は増加の一途をたどっている。中でも20代、30代の若い層の利用が急増している。

 どんな案件が掲載されているか、いくつか紹介しよう。

 エンジニアとして働く男性は、エクセルに関する困りごと相談に乗っている。ビジネスの現場では欠かせないエクセルだが、複雑な関数やマクロを使った自動化は、慣れないとなかなか難しい。そういう人を対象に仕事で活かせる効率化の方法を教えており、30分1500円でチケットを販売している。レッスンは対面でもスカイプでもOKだ。

 「あなたの価値を引き出すキャリア相談」というチケットを販売しているのは、企業でコンサルタントとして働く女性。性格テストを活用して、相談者の課題を発見し、解決へと導いていく。これまで販売したチケットは80枚を超えており、人気の高いレッスンのひとつになっている。

 「販売する人にとってうれしいのは副収入だけではないんです。会社員の方ですと、ふだんは組織の一員ですから、個人として評価をされる機会は少ないのが現状です。でも、タイムチケットなら1対1の関係になれるので、個人として評価をしてくれます。そこがうれしいと言う方が多いです」(タイムチケットを運営する株式会社グローバルウェイの山本大策さん)

友人関係が広がるきっかけにも

 会議で伝えたいことが伝わらない。大勢の前に立つとどうしても緊張してしまう。そんな悩みを持つ人に、プレゼンテーションの秘訣を教えているのは、コンサルタントとして外資系企業に勤務する男性。相手の課題に合わせて、プレゼンの技術を伝授している。こちらは、1時間3000円。

 どれも他のセミナーなり講座を受講すれば習得できるものだが、タイムチケットの場合は、すべてが1対1。教える相手に合わせてカスタマイズできるので、課題の解決がより的確になる。

 「副業を始めるからといって、何か新しいスキルを身につける必要はないと思います。ふだんの仕事の延長線上で、自分にできることを売り出せばいいんです。スキルではなく、あくまで時間を売買するのが、このWEBサイトの特徴なんです」(山本さん)

 サイトには、「引越しを手伝います」「買い物に同行します」「街歩きのガイドをします」「ファッション相談に乗ります」「ヒマつぶしに付き合います」「何でも気軽に話しましょう」といった比較的スキルを問わないものも販売されている。こんなふうに空いた時間を使って、ちょっとした副収入を得ている人も少なくない。

 「このサイトを通じて新しいつながりができ、相手と話が弾んだり、友人になったりする人も多いんです。副収入という目的よりも、そういった交流ができることを皆さん喜んでくれています。最近は『今すぐ相談したい』という要望が多くなっています。プレゼンテーションなどは、職種によっては急に必要になることもある。今後はそういった声にも対応していきたいと考えています」(山本さん)

10秒単位で時間を売買

 また、「タイムバンク」というWEBサービスもある。9月に誕生したばかりだが、こちらも時間を売買できるサービスだ。10秒単位で売買することができ、それを貯めて専門家のキャリア相談やコンサルティングの権利を購入する仕組みになっている。

 販売するには審査が設けられており、申請者のネット上での影響力などを独自に計測し、一定以上のスコアであれば販売者として登録できる流れだ。ハードルは上がるが、より専門性の高い時間の売買ができるようになっている。ある程度のキャリアや特技を持っている方は、チャレンジしてみる価値はある。

 将来、独立を考えている方も、会社を辞めていきなりフリーランスになったり、起業したりするのは、なかなか難しい。会社に在籍しながら、空いた時間を有効活用して、自分の領域を少しずつ広げていく。そういう作戦で副業への第一歩を踏み出してみてはどうだろうか。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。