無資格検査が「常態化」と西川社長 「悪しき習慣断ち切る」
日産記者会見・詳報(1)新車の無資格検査問題をめぐり、国土交通省に原因究明と再発防止策の報告書を17日提出した日産自動車が、横浜市の本社で同日午後4時半から記者会見を開いた。詰めかけた200人を超える報道陣を前に、西川広人(さいかわ・ひろと)社長は会見の冒頭、「信頼を裏切り、改めて深くおわび申し上げたいと思います」と早口で陳謝し、頭を下げた。続いて「(国交省の奥田哲也・自動車)局長からは大変厳しい言葉をいただいた。これから信頼回復に向け努めていきたい」と述べ、同席する山内康裕最高競争責任者(CCO)に報告書の内容説明を引き継いだ。
「無資格検査問題の原因・背景」として同社が挙げた要因は、大きく分けて7項目。(1)完成検査員の人手不足(2)希薄な規範意識(3)管理職の認識不足(4)マニュアルと完成検査票のミスマッチ(5)実態とかけ離れ、不明確な基準書(6)現場と管理職の「距離」(7)実効性を欠いた内部監査-だ。
(6)の「現場と管理職の『距離』」について、山内CCOは「完成検査員が不足している現状について、管理者層に改善を求めなかった」「内部通報をしても『是正されないのではないか』と認識されていた」と説明。改善策として、各工場で生産計画や人員配置などの意思決定に係長クラスを参画させるほか、来年1月から管理職である「品証課長」ポストを2人体制に増員し、係長クラスを登用する計画などを挙げた。
続いて、西川社長が「自分の言葉で」と述べ、詳細な説明を始める。
第三者の弁護士に委託した調査によると、「もっとも古い(無資格検査の)事例は1989(平成元)年、追浜工場でのことだが、社員の記憶によると、さらにさかのぼること10年前にもあった」「事実を確認することは難しいが、長い年月にわたり習慣化し、常態化していた」という。
「現在の日産メンバーにできることは、過去の悪しき習慣を断ち切ること、現場だけでなく全社的に再発防止に取り組むこと、完成検査だけでなく全ての業務プロセスを再点検することだ。信頼回復に向けた取り組みを最優先で進めたい」と述べ、国内5工場を統括する常務執行役員を新たに任命し、再発防止策を徹底する考えを示した。
■詳報(2)風通し悪い工場「内部通報機能せず」 現場の感覚とギャップ に続く
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