日産 ゴーン流が裏目に 効率化優先で意思疎通図れず

車無資格検査
完成検査問題に関する記者会見に臨む日産自動車株式会社の西川広人代表取締役社長兼最高経営責任者=17日午後、横浜市西区(納冨康撮影)

 日産自動車が発表した無資格検査問題の調査結果からは、本社と生産現場との意思疎通が不十分だったことが明らかになり、経営の不作為が改めて浮き彫りになった。カルロス・ゴーン会長が社長を務めていた時代から問題は続いており、拡大路線を進める中で完成検査員の人員不足が慢性化していた可能性も指摘された。ただ、経営責任は曖昧なままで、経営陣の求心力低下は不可避な情勢だ。

 報告書は問題の背景として、「現場と本社の管理者層との間に距離があり、管理者層が問題を把握し対処することを困難にした」と指摘。西川(さいかわ)広人社長が「是正した」と公言した後も無資格検査が続いていたことが発覚し、国内販売向け車両の生産・出荷停止につながって問題が深刻化したが、その背景に社内の意思疎通に問題があったことが明確になった。

 一方で、必達目標「コミットメント」を掲げることで求心力を高めてきたゴーン氏の経営手法が今回の問題につながったとの見方については、西川氏は17日の記者会見で「それ(ゴーン氏が経営再建計画を発表した平成11年)以前から常態化していた」と強調し直接の原因としては否定した。しかし、「目標だけ独り歩きすることがある」として、現場が目標の達成のために独自の“効率化”を優先した可能性を示唆した。

 ただでさえ、日産の経営は曲がり角を迎えている。29年3月期までの6年間の中期経営計画での目標はほとんど未達に終わり、ゴーン氏の「コミットメント経営」は見る影もない。営業利益は今期まで2期連続の減益見通しだ。1倍を割り込むと割安とされるPBR(株価純資産倍率)は0・82倍と、自動車大手の中で最低水準で、株式市場の評価は低い。重視してきた米国市場では、販売奨励金による値引き競争で収益環境は悪化。好調だった国内販売も無資格検査問題でブレーキがかかっている。

 不正の責任を取って西川氏は、10月から来年3月まで、役員報酬の一部を返上することを表明したが、経営責任を明確化する意向は示さなかった。不祥事の調査結果発表での対応としては異例だ。経営責任を曖昧にした姿勢は工場や本社の従業員だけでなく、販売会社や部品メーカーを含めたグループ関係者からの不信感を増幅させる可能性がある。西川氏は、「挽回の機会をいただきたい」と述べたが、前途は多難だ。

(高橋寛次)