遊技産業の視点 Weekly View

 □夢コーポレーション代表取締役社長PCSA代表理事・加藤英則

 ■地域のインフラ機能有するホールに

 戦後、焼け野原からの復興とともに庶民のささやかな娯楽として発展したパチンコ。生きるのに必死であったその時代、日々労働で疲れた心身のリフレッシュのため、皆が娯楽を求めていた。娯楽が少なかったその時代、手近で手軽なパチンコは一躍人気を博し“娯楽の王様”といわれるまでに庶民の心を捉えていった。この時代、パチンコはプロ野球・プロレス観戦と同様になくてはならない存在となっていた。これがパチンコの原点である。

 それからおよそ70年、パチンコも日本の世相を反映し変化を遂げてきた。右肩上がりで増え続けていたパチンコ・パチスロファンも、この十数年減少の一途をたどりピーク時の3分の1とも4分の1ともいわれ斜陽産業化しつつある。その原因を一言で言えば、庶民の娯楽からかけ離れてしまったことに尽きる。離反顧客のアンケートにおいてやめた理由の上位は“お金がかかり過ぎる”“ゲーム性が複雑”“たばこがけむい”などだ。その行き過ぎた射幸性に、ついに行政主導でメスが入った。遊技規則の改正である。この改正で、以前より玉持ちがよく当たりやすい機種が登場することとなる。喫煙に関しても、分煙が当たり前の世の中でパチンコホールでは改善ができていない。2020年、東京オリンピック・パラリンピックに向け受動喫煙防止法の成立が望まれる。規則改正も受動喫煙防止法も離反顧客の不満や不安や不快を解消するチャンスである。まずはこのチャンスを生かし、パチンコの原点回帰をし、それにプラスして今の時代にあう店舗づくりをすることが肝要である。

 コンビニエンスストアが各種決済や宅配の窓口など、社会のインフラになっていることは誰もが認めるところである。同様に、パチンコも地域社会のインフラになることが求められる。パチンコホールも多くの人が来場する施設だ。遊技をする人もしない人もそこに集い、地域の情報を発信したり、災害時の避難場所になったり、いろいろな社会貢献活動の基地になったりと、地域コミュニティーの担い手として社会インフラ化を進めることが、今後のパチンコホールの使命である。

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【プロフィル】加藤英則

 かとう・ひでのり 1962年生まれ。愛知県豊橋市出身。名城大学商学部卒業後、IT関連企業勤務を経てダイエー観光(現・夢コーポレーション)に入社。営業部、営業企画室などを経て2006年代表取締役に就任、現在に至る。