【株式ニューカマー】シルバーライフ、日本一の店舗網で高齢者向けの配食サービス展開
□シルバーライフ・清水貴久社長
高齢者向け配食サービスを手掛けるシルバーライフは、10月25日、東証マザーズ市場に新規上場した。調理や買い物が困難な一人暮らしや要介護者の個人宅のほか、人手不足の介護施設向け、同業他社へのOEM(相手先ブランドによる生産)供給など、幅広く商品を提供することで業績を伸ばしている。清水貴久社長は、「競合する他社も同業の仲間として受け入れて協力することで、ともに業界を発展させていく」と共存共栄を目指す。
--どのようなビジネスモデルなのか
「野菜や魚などを仕入れて自社工場や提携先工場で調理している。真空パックに詰めて冷蔵状態にして、全国560店舗超のフランチャイズ加盟店に届ける。各店舗では弁当箱に盛りつけて周辺の顧客のもとに昼と夕方の1日2回、一軒一軒玄関先まで配送する。人手不足で調理が困難な施設にも届ける。売り上げは、加盟店への食材販売がほとんどで、それにロイヤルティーや加盟料などが加わる」
--他社と差別化できている点は
「高齢者向け配食事業者として日本一の店舗網を持っていることだ。配送効率を高めるにはたくさんの店舗が必要になる。より多くの人に届けることができるため、結果的に大量生産が可能になり、リーズナブルな価格で販売できる」
--生産体制は
「群馬県内の自社工場で4割、提携先工場で6割を調理している。弁当は毎日食べるので、日々メニューを変えなければならない。体の状態が異なる高齢者に合わせて、普通食、咀嚼(そしゃく)に難のある人向けのムース食、透析患者向けの低タンパク食など、きめ細かく全部で1000品目以上を用意している。品数が多いと非効率になりがちだが、当社は店舗を多く持つことで販売量を増やし、利益が出せる体制を確立している」
--業績は
「売上高は順調に伸びていて2018年7月期は前期比17.9%増の61億8400万円を見込んでいる。経常利益率については13年7月期から14年7月期までの間、最初に設置した工場の運営で試行錯誤が続き悪化させたが、それ以降は売上高の伸びに合わせて、ほぼ同じ割合で成長している」
--上場の狙いは
「大規模に設備投資をして成長を加速するためだ。調達資金は2カ所目の工場新設にあて、関東地方で数年以内に約10億円をかけて建設する。ほかに物流センターにも約3億5000万円を費やし、整備する」
--事業の展望は
「高齢者白書によるとメインターゲットである後期高齢者は約1700万人だが55年まで増え続けていく。このため現在560店を超える店舗網を、10~15年後には1500店舗に拡大する」
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【プロフィル】清水貴久
しみず・たかひさ 明大経営卒。1998年警視庁入庁。ベンチャーリンクを経て、マーケット・インを設立。2009年シルバーライフFC開発部長、12年9月から現職。43歳。東京都出身。
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【会社概要】シルバーライフ
▽本社=東京都新宿区西新宿4-32-4 ハイネスロフティ2階
▽設立=2007年10月
▽資本金=5億8549万円
▽従業員=229人 (17年7月末時点)
▽売上高=61億8400万円 (18年7月期予想)
▽事業内容=高齢者向け配食サービスFC本部運営、高齢者施設などへの食材販売など
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