【講師のホンネ】成長する人としない人の違い 武藤正幸

 

 成長する人と成長しない人の違いは何か。それは失敗したときの捉え方だ。以前「我武者羅應援團」で応援させてもらった調理専門学校の先生がこんな話をしてくれた。

 「学生が1年生のときにクラスメートでグループを組み、店舗運営実習をやる。調理はもちろん、食材の仕入れから接客まで学生に任せる。学生だけだからトラブルも多い」

 実習が終わり、学生たちに感想を書いてもらう。すると「準備する時間をもっと作ってほしい」「グループの人数を増やしてほしい」といった学校側への不満や要求を多くの学生たちが書くという。

 それから1年後。彼らが2年生になり、もう一度、同じ実習をやるそうだ。「2年生になったとはいえ、やはりトラブルは起こる。でも1年生と2年生では明らかに違う」

 何が違うのか-。それは実習を終えた学生たちの感想だ。

 2年生は起こったトラブルに対して「自分の段取りをもっとスムーズにすれば、間に合った。常に次の行動を意識したい」「仲間をフォローできるように、周りをみて仕事をしたい」など、周りへの不満や要求ではなく、自分に向けての反省や改善点を書くようになる。「この意識の変化が、成長の分かれ目」と先生はうれしそうに語る。

 目の前のことがうまくいかなかったとき、2通りの選択肢がある。1つは環境や誰かのせいにする。もう1つは自分に原因を求める。学生たちは、1年間頑張ってきた中で学んだのだろう。周りのせいにしても、状況は良くならないことを。逆に自分さえ本気で頑張れば、無理だと思っていたことだって、できるようになるんだということを。

 「この困難を乗り越えられるかどうかは自分次第」。そう思ったときに人はぐんっと成長する。成長しない人は「誰かのせい」にし続ける。相手が悪ければ自分は努力も改善も必要ない。でもそれは成長する機会を自ら放棄しているのと一緒だ。

 だからあなたに伝えたい。今、目の前に壁が立ちはだかっていたとしても、あなたなら必ずその壁を乗り越えられる。その壁を乗り越えたとき、1回りも、2回りも成長した自分になっているはずだ。

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【プロフィル】武藤正幸

 むとう・まさゆき 埼玉県生まれ。プロの応援団「我武者羅應援團」総監督。レスリングの吉田沙保里選手やオールブラックスなどを応援し、NHK紅白歌合戦、CM「パズドラ」にも出演。講演家として2016年全国・講師オーディション優勝。小説新潮へ寄稿するなど作家活動も行う。著作「僕らの仕事は応援団」(大和書房)。