トヨタ、全車種に電動モデル設定 パナと協業でVWに対抗「パズルのピース埋まった」

 
全車種に電動モデルを設定すると発表したトヨタ自動車の寺師茂樹副社長=18日午後、東京都内

 ■電池研究など1.5兆円

 トヨタ自動車は18日、2025年頃までに世界で販売する全車種にハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)など電動モデルを設定すると発表した。エンジン車のみの車種がなくなり、電動車シフトが鮮明になる。まだ本格的な市販車を投入していないEVも、20年代前半に中国、日本、インド、米国、欧州で10車種以上を発売する。パナソニックとの協業で電池の安定供給にめどをつけ、世界最大手を競い合う独フォルクスワーゲン(VW)などに対抗する。

 「電池という(パズルの)ピースが埋まり、電動化へのアクセルを思い切り踏めるようになった」

 トヨタの寺師茂樹副社長は18日、東京都内で開いた説明会で電動車戦略を加速する考えを示した。トヨタはHV「プリウス」で培ったモーターやインバーターの技術をEVなど他の電動車に応用できると強調してきた。ただ、EVの電池は低速時だけ使うHVと必要な性能は大きく異なり、例えば日産のEV「リーフ」に搭載されている電池の容量は、プリウスの約50倍。「EVを100万台つくるには、HVを数千万台つくる電池の容量が必要」(寺師氏)なことがハードルになっていた。

 しかし、パナソニックとの協業により、高性能電池の安定供給について一定のめどが立った。協業について両社は13日、「可能性を検討」としていたが、トヨタのこの日の説明では「内容を検討」と前進。寺師氏は「白地図はできており、これからは色を塗っていく作業を始める」と話した。

 また、電池など電動車関連の研究開発について寺師氏は、30年までに計1兆5000億円を投資する方針を明らかにした。現行のリチウムイオン電池だけでなく、大容量で安全性にも優れる次世代の「全固体電池」の開発も進め、20年代前半までの実用化を目指す。

 EVをめぐっては、国家間の思惑も複雑だ。もともと、トヨタなどがEVへの対応を迫られている背景には、中国や米カリフォルニア州などで導入される厳しい環境規制がある。EV向け電池については、自国産業育成を視野に中国政府が巨額投資を促しており、今後、外部から調達する場合は中国メーカーが主要な選択肢となる公算が大きい。ただ、ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は「日本メーカーとして、中国市場に安定調達を依存できない。信頼できる対抗勢力をつくることが重要で、トヨタとパナソニックの提携の意義は大きい」と読み解く。

 電動化への視界が晴れたトヨタだが、課題は収益性だ。新たな投資がかさむ一方、販売する車の大部分は電動車に置き換わるだけで、大きく増えない可能性がある。トヨタ幹部は「今の生産技術で電動化を進めれば収益は下がる。大幅な進化が必要だ」と打ち明ける。

 ■トヨタの今後の電動車戦略

 2020年  中国で電気自動車(EV)を投入

 20年代前半 日本、インド、米国、欧州でもEVを発売。EVを10車種以上に拡大

 25年頃まで 世界で販売する車種を電動専用車か電動グレード設定車に(エンジン車のみの車種はゼロ)

 30年    電動車の販売を年550万台以上に(新車販売台数の半数以上)

 50年    エンジンだけで走る自動車の販売をほぼゼロに(新車の二酸化炭素排出量を10年比で90%削減)

 ※電動車はEV、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)