外食大手、年末年始休業の動き広がる 人手不足で「年中無休」見直し
■時短・省力化…働き方改革
「年中無休」の看板を下ろす外食大手の動きが目立ってきた。大戸屋ホールディングス(HD)は18日、定食チェーン「大戸屋ごはん処」の直営店の約半数に当たる80店を、今年の大みそかと来年の元日に休業すると発表した。深刻な人手不足を背景に、各社が「働き方改革」のかじを切りつつある。
大戸屋は今年も、来店が見込めないビジネス街を中心に40店舗を元日休業としていたが、さらに規模と日数を倍増させる。窪田健一社長は同日の記者会見で「上乗せ時給を払って無理に営業するより、みんなで休んで心と体の健康を保ちたい」と休業の意図を説明した。
ロイヤルHDは、天丼チェーン「てんや」直営店の8割に当たる約120店舗を元日休業に。さらに「ロイヤルホスト」は、5月と11月にも一斉休業日を設ける。居酒屋のテンアライドも、「旬鮮酒場天狗」など全店で大みそかに休む。
いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「(先行したロイホなどが)深夜営業を短縮しても、大きな減益にならなかったことが背中を押している」と分析する。ただ、業界全体への拡大に関しては「人が動く季節は書き入れ時でもある。経営者の考え方にも左右されるだろう」とみる。実際、モンテローザは今年、居酒屋「白木屋」など10店舗で試験的に日曜か月曜を定休日としたが、11月で終えた。「広げる予定はない」(広報)という。
3年前、人手不足で6割強の店が深夜営業の停止に追い込まれたゼンショーHD傘下の牛丼店「すき家」は、「いつでも入れる『食のインフラ』」(小川賢太郎会長兼社長)を掲げ、ほとんどを24時間営業に戻した。
しかし、三大都市圏の外食関連のアルバイト・パート平均時給は11月に988円となり、前年同月比23円上昇(リクルートジョブズ調べ)。採用コストもかさむ中、働きやすさを高めて離職率を抑えることが業界全体の課題となっている。
そのため、セルフ式レジや注文用タブレット端末の導入などITを活用した省力化も進む。「特効薬はなく、一つずつ積み重ねるしかない」(大戸屋HDの窪田社長)のが実情だ。
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