スバル、現場の強さが“あだ” 社内の意思疎通改善と制度見直し急務

 
無資格検査の報告書についての会見を終え立ち上がるスバルの吉永泰之社長=19日午後、東京都渋谷区(酒巻俊介撮影)

 新車の無資格検査問題を起こしたSUBARU(スバル)についての調査報告書は、生産現場の自律性を重視するあまり、経営陣の目が届かなくなり、コミュニケーション不足に陥っていたことを指摘した。一方で、完成検査の制度自体の曖昧さも問題の一因とみられる。今後は、社内の意思疎通の改善と制度見直しの両面から、再発防止を徹底することが求められる。

 調査を委託された長島・大野・常松法律事務所は「完成検査業務の実態についてより積極的に関心を払っておくべきだった」と経営陣の不作為を指摘。会見した吉永泰之社長は「自らの手で改善できなかったことを極めて深く反省している」と陳謝した。CMの自粛などで販売にも影響が出ており、12月の受注は前年の3割減の水準になっているという。

 また、報告書は「製造業という会社の属性から、検査工程を含め工場の『現場』の立場や権限が強く、現場内でルールの制定および運用を完結させてしまうことが可能だった」と強調した。日本の自動車産業が発展した原動力である「現場の強さ」が“あだ”になった格好だ。創意工夫をする「現場力」を維持したまま、経営陣とのコミュニケーションを深めるという難しいかじ取りが必要となる。

 一方で報告書は、完成検査が制度疲労を起こしている実情も浮き彫りにした。例えば、スバルの「ルール軽視」については、「過度な技量重視の風土」の裏返しとした。現場の完成検査員からは「(無資格の検査員も)習熟度の見極めが行われており、検査に必要となる技術の十分性には問題がない」という意見があったという。

 現状では、完成検査をする検査員の認定方法や運用はメーカーごとに異なる。ある会社の無資格者が、他の会社の資格者より優れている、という可能性も否定できない状態だ。

 国土交通省は制度のあり方などについて、有識者会議での議論を始め、国際基準の活用などが提案されている。会議では、「チェック体制を強化すべきだ」との声がある一方、「技術進展を考慮した運用をすべきだ」などの意見も出ている。ルールを厳格化すれば日本の自動車産業の競争力減退につながりかねないという懸念もある。(佐久間修志、高橋寛次)