人間超え目前? AIコピーライター「AICO」コピー大賞入選 静大など開発、「産経」を入力すると…

 
AICOで作成したキャッチコピーを紹介する狩野准教授=静岡県浜松市中区城北の静岡大浜松キャンパス(石原颯撮影)

 人工知能(AI)で広告コピーを自動生成するシステム「AICO(アイコ)β版」を静岡大学の狩野研究室(狩野芳伸准教授)が大手広告代理店と共同開発している。今秋の「第8回しずおかコピー大賞」では4289作品の中から60作品のファイナリストに残る快挙を達成。完全匿名審査での選出に、「人間と区別がつかないレベルに達した証明」と狩野准教授は実用性を確信。近い未来、パーソナライズされた広告コピーを生み出すことができるようになるという。(石原颯)

言葉の意味の関係も学習

 AICOは特定の単語や情報を入力するだけで無数のキャッチコピーを自動で量産する。例えば「新聞」と入力すると「ニュース」や「記者」といった連想語が抽出され、この単語を実際のコピーライターが作った作品や日本語文法など言語処理のノウハウを学習させ、その知識を基にキャッチコピーを生成する。

 「この主語だと、この述語が出てきそうだ」といった意味的な関係も学習し、出来上がった複数のキャッチコピーから意味が妥当なものをAI自身が取捨選択し、画面に表示。感嘆詞を用いた「あー、新聞、大好き」「今の時代、ニュースであることの方が難しいと思う」など実際に使われるコピーに近いものがはじき出される仕組み。

 現状の約6割が日本語として意味が通じるレベル。その内の半数が使ってもいいレベルで、プロのコピーライターが採用する“かもしれない”レベルは全体の約1割。“かもしれない”はコピーの善しあしは主観的な評価のためだという。

 コンクールは、AICOが生成したキャッチコピーから狩野准教授や研究室生が選んで応募。匿名審査で入賞したことにより、実際の広告に使用可能なことが証明され、「コピーライターの発想を手助けする実用レベルに到達した」と狩野准教授は評価する。

 近年流行のビッグデータを活用した学習と異なり、専門的なノウハウをAIに覚えさせることで、より人間の思考プロセスに近づける方向で開発を重ね、精度向上につなげたい考えだ。

 今後、高度な日本語のキャッチコピーが高確率で作成できれば、時間や場所、人の性格なども考慮し、より消費者に響くメッセージが発信できるようになるという。狩野准教授は「かなり近い将来に実現する」と見通す。

「産経を、日本人に。」

 同研究室はAICOのほか「ロボットは東大に入れるか」の社会科用システムや対話ゲーム「人狼」の自動プレーヤー作成など、AIを使ったユニークな取り組みをしている。狩野准教授の究極の目標は「会話できるAIを作ること」。

 試しに「産経」をキーワードに生成してもらったところ、「産経を、日本人に。」のキャッチコピー。やるじゃないかAICO。