【eco最前線を聞く】集合住宅の窓、高断熱化に先手

 
アルミ樹脂複合窓「エピソードNEO-LB」の断面

 □YKK AP執行役員 開発本部ビル商品企画部長・石黒義則氏

 YKK APは、低層集合住宅向けに高断熱のアルミ樹脂複合窓「エピソードNEO(ネオ)-LB(エルビー)」を来年1月から売り出す。戸建て住宅に比べて遅れていたマンションなどビル集合住宅の窓の高断熱化を、業界に先駆けて一気に進める考えだ。堀秀充社長も「2017年度を『ビルの断熱元年』にしたい」と意気込む。新商品の狙いや特徴を石黒義則執行役員・開発本部ビル商品企画部長に聞いた。

 ◆20年に20%置き換え目標

 --ビル集合住宅の窓の高断熱化が遅れていたのはなぜか

 「木造が大部分の戸建て住宅は、壁や天井、床に熱が逃げやすいため、窓の高断熱化の取り組みが早かった。国のエネルギー基本計画で、2020年までに標準的な新築住宅でエネルギー消費を限りなくゼロにするZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)実現を掲げるなど、省エネ対策が奨励されていることも後押しした。これに対し、鉄筋コンクリートのビル集合住宅は住戸が隣接して外気に接する面が少ないほか、コンクリート躯体の気密性が高いことなどから熱損失が少ない。戸建て住宅に比べると、暖かいため、窓の高断熱化が遅れていた。ただ、ここにきて国の集合住宅向けZEH支援策の枠組みが来春にもまとまる見通しになるなど、集合住宅の窓にも高断熱化の波が押し寄せようとしている」

 --当面の目標は

 「集合住宅を含むビルの窓は国内ではまだ98%が旧来のアルミ窓のまま。YKK APでは20年までにこのうちの20%を、今回のアルミ樹脂複合窓と樹脂窓の高断熱商品に置き換えることを目標に据えている」

 「集合住宅は6階建て以上の中高層と5階建て以下の低階層に分別でき、賃貸が中心の5階建て以下が56%を占める。実はこうした低階層の窓は大部分が、中高階層で使われているアルミ窓をスペックダウンした製品を使っている。大は小を兼ねる発想といえば分かりやすいかもしれない。ただ、アルミ窓なので断熱性は高くない。なんとかならないか、というニーズが強まっていた」

 「新製品の『エピソードNEO-LB』は発想を全く変え、戸建て住宅用に開発したアルミ樹脂複合窓を、耐風圧に対する強度向上、コンクリート施工対応などスペックアップし、集合住宅用に仕上げた。断熱性能は6段階あるJIS基準のうち、上から2番目に当たるH-5等級を実現、結露を抑え健康で快適な生活が送れるようにした。さらに戸建て住宅用と可動部を共用したこともあり、値頃感のある価格で提供できるようにしたのも大きな売りだ」

 ◆研究ノウハウ生きる

 --ほかの特徴は

 「樹脂を使っているので、外観、内観ともにカラーコーディネートができるようになった。戸建て住宅と違って集合住宅の窓はこれまでアルミの銀色一色だったが、内装や調度品のイメージに合わせてカラーが選べるようになり、結果として集合住宅の資産価値を上げることにつながる。また、これから1980年代に建設した集合住宅の多くが改修期に入るのをにらみ、アルミ窓からアルミ樹脂複合窓に改装できる仕様も設定する。さらに供給形態もこれまでの組み立て品のほか、ガラス入り完成品、部材供給の3タイプを用意し、ユーザーのニーズに対応できるようにした」

 --評判は

 「10月のプレス発表以降、高い評価をいただいている。アルミ樹脂複合窓といっても一朝一夕にできるものではない。樹脂製ファスナーを開発するなどYKKグループの樹脂の研究ノウハウが今回の新製品にも生きている。アルミ樹脂複合窓や樹脂窓の分野でもトップシェアを取っていきたい」

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【プロフィル】石黒義則

 いしくろ・よしのり 1987年吉田工業(現YKK)入社。2004年YKK APビル建材第二事業部商品開発部部長、09年YKK(中国)投資有限公司AP事業部商品統括部長などを経て、17年から現職。51歳。富山県出身。