【専欄】「QRコード」があちこちに 拓殖大学名誉教授・藤村幸義

 

 1年ぶりに北京を訪れてみると、あちこちに「QRコード」が増えているのに驚いた。スマートフォンを使ったさまざまな仕組みが登場し、市民の生活が一変しているのだ。現地の日本人駐在員によると、この変化は今年に入って一気に加速したという。

 まずは面会してあいさつをするときに、名刺を持たない人が増えてきた。その代わりに互いにスマホを寄せ合い、QRコードでアドレスを交換しあう。

 市内の車での移動方法も変わってきた。以前は5~6人で移動するときには、マイクロバスを1台、一日中借り切った。ところが今はその都度、スマホを使って6人乗りの大型タクシーを呼び寄せる。その方が待ち時間がないので、料金ははるかに安い。しかも行き先までの料金があらかじめ決まっていて、渋滞に巻き込まれても料金が上がることはない。

 レストランのテーブルの上にはQRコードのシールが張ってあり、それを使って支払いができる。シールには「セルフの支払いなので、お待たせすることもありません」と書かれていた。街角で首からQRコードをぶら下げて物ごいする人をみかけた、という現地の駐在員もいた。

 シェアリング自転車も急速に普及してきた。ある大学の構内では、黄色やオレンジ色の自転車に乗って登校してくる学生を多く見かけた。同大学だけで3000~4000台はあるという。料金は1時間1元(約17円)。学生たちは校舎の前で自転車を乗り捨て、帰るときにはまた別の自転車にスマホをかざす。専門のスタッフが常時、バッテリー切れなどの自転車を回収して回っている。

 ショッピングもスマホで購入するケースが増えている。ラーメン一杯でも配達してくれるそうだ。その背景には物流ネットの普及がある。ラーメン屋は自分でバイクなどの配達手段を持っていなくても、配達を外部に委託できるシステムが出来上がっている。

 もちろん新手段の導入に伴う混乱も起きている。シェア自転車では街中のいたるところに勝手に乗り捨てるユーザーが多く、交通の障害になっている。だがそうした無秩序も次第になくなってきているという。

 ネットによる支払いにもトラブルがないわけではないが、ある現地駐在員は、「それよりも取りはぐれがないので、お互いの信用が増すのではないか」と言っていた。