日本公庫「政策と企業つなぐ」 田中新総裁 2代続けて財務省出身者

 
会見する日本政策金融公庫の田中一穂氏=25日午後、東京・大手町

 日本政策金融公庫は25日、細川興一総裁が同日付で退任し、後任に田中一穂元財務事務次官が就任したと発表した。商工中金の不正融資問題を受けて、政府系金融機関のあり方が問われる中、日本公庫は2代続けて財務省からの天下り人事を受け入れたことになる。

 田中氏はこの日、就任会見を開き、「政策と個別の企業をつなぐのが私どもの役割だ」と述べ、政府の政策判断を達成する金融機関としての任務に徹する考えを示した。

 商工中金は書類を改竄(かいざん)するなどして日本公庫を通して国のお金を引き出し、低利で企業に貸し出す不正をしていた。田中氏は「極めて公益性の高い事業で起きた不正行為で大変遺憾だ」と述べ、一連の問題を防ぐ余地がなかったか、日本公庫側も精査する必要があるとの認識を示した。

 全国地方銀行協会が会員64行を対象に行った調査にでは、政府系金融による民業圧迫事例は424件確認された。このうち日本公庫は約6割(260件)を占めた。一方、公庫は16年度に1万9671件に上る民間との協調融資実績がある。田中氏は「民間の仕事を奪うことは本意ではない」と述べ、民間金融機関との連携を密にしていく考えを強調した。

 今回の人事について、細川氏は「さまざまなご批判もあると思うが、経歴、能力、全人格をかけてこの仕事をやってもらうに値する人物だと思って推薦した」と説明した。

 商工中金の抜本的改革を検討する経済産業省の有識者会議では、政府系金融そのもののあり方も論点となっている。商工中金の一連の問題を機に始まった議論は、来年で統合・発足から10年の節目を迎える日本公庫にも、大きな影響を与えることになりそうだ。