【株式ニューカマー】質のいい中古提供、空き家問題も解決

 

 ■カチタス・新井健資社長

 人口減少などの影響で全国には820万戸の空き家が存在し、毎年60万戸以上増え続けていくとみられている。日本では新築住宅への志向が強かったが、最近は建築資材の値上がりにより新築にこだわらない世帯が増加傾向にあることから中古住宅市場が成長しつつある。12日、東証1部市場に上場したカチタスは、既存の戸建て住宅を買い取ってリフォームや、大規模な工事によるリノベーションを施し、価値を足して販売している。新井健資社長は「賃貸住宅の家賃より安く、質のいい持ち家を供給したい」と中古市場の拡大を目指す。

 ◆新築の半額以下

 --業界内での強みは

 「販売戸数で2位に10倍以上の差をつける圧倒的なトップ企業であることだ。戸建て住宅は雨漏り、シロアリ被害、隣家との境界問題への対応といった煩雑さがある。物件ごとに状態が違い、効率的でないため撤退する事業者も多い。これに対し、当社はこれまで多くのリフォームやリノベーションを手掛けてノウハウを蓄積しているので、快適に住める中古住宅を提供できる。新築の全国平均価格が約2800万円であるのに対し、当社は中古を平均1340万円と半額以下で販売している。『建物だけの値段ですか』という問い合わせがあるが、もちろん土地代も含んでいる」

 --事業のメリットは

 「空き家を買い取ることで、日々のビジネスを通して、社会問題の解決に貢献でき、新しい世帯が住むため地域活性化にもつながる。住宅を大事に使いながら住み継いでいくことで、エコロジーという観点からも有益であると自負している。平均で築30年の物件を再生している」

 --想定する顧客層は

 「人口5万~30万人の中小都市で、賃貸物件に住んでいるファミリー層が中心だ。実は質の高いファミリー向け賃貸を探すことは難しい。このため仕方なく、今の賃貸に住み続ける人たちがほとんどだ。そういった不満を持つ人に向けて、質の高いきれいな住宅を提供することで、新しい市場をつくり出している」

 ◆非常に大きい市場

 --中古物件の過剰供給に対する不安は

 「人口は減っていくが、それに伴い空き家も多く出回る。実際、老朽化が進んだ住宅を相続した人から、無料でもいいから買い取ってほしいという相談を受けることもある。都道府県別での人口1人当たりの販売戸数では、秋田、青森がそれぞれ全国で1位、2位を占める。人口減少率も高い地域だ」

 --事業成長のイメージは

 「中古住宅市場は、2005年の12万戸から10年後の15年には26万戸に増え、2倍以上に拡大し、今後も確実に加速していくだろう。地方在住の年収200万~500万円で、持ち家志向のある借家世帯は約138万世帯ある。これに対し当社の年間販売戸数は、業界トップとはいえ約3500戸と、0.2%にすぎない。潜在顧客数、需要ともに非常に大きい市場で伸びが期待できる」

                   ◇

【会社概要】カチタス

 ▽本社=群馬県桐生市美原町4-2

 ▽設立=1978年9月

 ▽資本金=37億7887万円

 ▽従業員=687人(2017年4月1日時点、連結ベース)

 ▽売上高=679億9800万円 (18年3月期予想)

 ▽事業内容=中古住宅の買い取りと販売

                   ◇

【プロフィル】新井健資

 あらい・かつとし 東大法卒。1993年三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン、リクルート(現リクルートホールディングス)を経て、2012年6月やすらぎ(現カチタス)社長。49歳。東京都出身。