【三菱マテリアル不正】利益確保の重圧 萎縮する子会社

 
三菱マテリアル本社の入る経団連会館=東京都千代田区(桐原正道撮影)

 三菱マテリアル子会社の不正に関する特別調査委の報告書では「シェア拡大を優先した」ことを原因の一つに挙げ、背景に利益確保の重圧があった可能性をうかがわせた。必要な情報が親会社に届かない実態も鮮明となり、会見では三菱マテリアルの監督責任を問う声が相次いだ。三菱マテリアルは、子会社との関係を含むガバナンス(企業統治)の再構築が迫られる。

 三菱伸銅に関する報告書では、1990年代に自動車用端子コネクター分野へ遅れて参入した際、製造能力を超えて無理な受注に走り、問題製品を多数生んだことが不正につながったと指摘。問題製品の処分で発生する損失の回避も動機とした。三菱マテリアルの竹内章社長は「親会社は実現不可能な利益を強要していない」と強調したが、子会社側が重荷に感じていた可能性は否めない。

 三菱伸銅では、辞任する取締役らが不正を把握していたが、取締役会へ報告していなかったといい、親会社に伝わるのを恐れていた可能性がある。三菱電線工業の村田博昭前社長も、2月ごろに不正の可能性を知ってから10月25日まで、三菱マテリアルに報告していなかった。

 三菱マテリアルはグループのガバナンスについても強化策を検討中だ。竹内社長は「親会社に速やかに情報が伝達されるルートを整備したい」と語ったが、実効性を持たせるには社風にも切り込む必要があり、時間がかかりそうだ。(井田通人)