「新NISA」若い顧客開拓 来月スタート 20年後への「設備投資」

 
証券会社は「つみたてNISA」を足掛かりに、長期的な視点で顧客開拓につなげたい考えだ=東京都千代田区の大和証券本店

 積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」が来年1月に始まる。対象の金融商品は、顧客が負担する運用管理費用が安く、販売する側が得る手数料もゼロ円の投資信託に限られており、金融機関はもうからないとされる。それでも証券会社の間には、今から若者らに投資になじんでもらうことで次世代の顧客開拓につなげる狙いがあり、長い目で見た「設備投資」と位置づけている。

 2014年に始まった現行NISAは毎年の投資額の上限が120万円で、投資で得られた売却益や配当金が最長5年間非課税。これに対し、つみたてNISAは毎年の投資額の上限は40万円だが、非課税期間は最長20年間と4倍の長さだ。少額ずつの積み立て投資による資産形成を促す。

 現行NISAの投資対象は上場株式や投資信託など幅広いが、つみたてNISAでは長期運用に向くなどした一定の投資信託に限られる。運用管理費用が安い▽証券会社や銀行が得る販売手数料がゼロ円-といった条件が設けられており、運用・販売する金融機関は収益を得にくい。「かかるコストを考えれば決してペイするビジネスではない」(大手証券会社幹部)

 しかし、野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)は、つみたてNISAについて「目先の収益はまったく考えていない。10年後や20年後に向けての『設備投資』だ」と言い切る。大和証券グループ本社の中田誠司社長も「長期的に考えれば、今まさに『設備投資』として力を入れて取り組むべきだ」と訴える。

 主なターゲットは若者や投資未経験者で、つみたてNISAを足がかりに「証券投資で成功体験を積んでもらう」(日本証券業協会の鈴木茂晴会長)。そうした人たちが将来、退職や相続などで多額のお金を手にしたときに、運用先としてすんなりと証券投資を選びやすくなると期待する。

 日銀によると、今年9月末時点では、家計が保有する金融資産のうち、現預金が51.1%と過半を占め、株式や投資信託の割合はまだ低い。長年叫ばれてきた「貯蓄から投資へ」は遅々として進んでおらず、つみたてNISAが後押し役になるか注目されるが、三菱UFJ国際投信が全国の1万人を対象に今月実施した調査では約58%がつみたてNISAも投資信託も「知らない」としており、認知度不足が課題といえる。