【エコスタイルのエコBIz】小規模水力発電で地域に潤い

 
静岡県長泉町で開発中の小水力発電所

 ■電力供給のパッケージング提案、採算性を確保

 日本の豊かな水資源のエネルギー利用は限定的であったが、2012年に施行された再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)によって転換しようとしている。

 ◆ネットで資金調達

 わが国では河川の水をダムでせき止め、たまった水を大きな落差を利用して発電する水力発電所の建設がほぼ完了。これに対し小規模水力発電がFITの対象になったことをきっかけに、市町村管理の普通河川や準用河川、農業用水路、上下水道施設などを利用した小規模水力発電の開発に移行しようとしている。

 一方で、小規模水力発電に適した未開発地点は全国に多数存在しているが、FIT後も河川法の制約や既得権としての性質をもつ水利権(流水占用)などにより、新規の小規模水力発電所の開発は停滞しているのが現状だ。普及が進んでいない上、小規模水力発電機器は設置場所の条件によりカスタマイズが必要なため、立地制約などで発電設備設置の初期コストを十分に低減できず、発電事業単体では採算が合わない。

 こうした環境下で、エコスタイルはその将来性を見据えて静岡県で小規模水力発電所の建設を進めている。事業モデルとしては、常時はFITにより売電を行う一方で、エコスタイルがその電気を地域へ供給すると同時に、太陽光発電の自家消費などの省エネ提案を行う。さらには小規模水力発電や太陽光発電の設置に関わるイニシャルコストを、インターネットを介して不特定多数の人から少額資金を集めるクラウドファンディングで調達する。

 どのように電気を作って、届けて、使うのか。そのお金をどう集めて、どのように還元するのかという全てを地域電力供給のパッケージとして提案することで、発電事業単体では採算性確保が難しい小規模水力発電の設置を可能にする。

 一方で、大規模災害による停電などの非常時には独立運転に切り替えて住民に開放し、発電した電気で家電製品などが直接利用できる給電ステーションを備える。

 また、ポータブル蓄電池を設置して、在宅医療などで電気を必要とする住民へボランティアが届ける。実際には、災害時にどこに電気を必要とする人がいるかを事前に把握する必要があるが、災害訓練などを行うことで普段から孤立しがちな住民とのコミュニケーションを活性化するツールにもなる。

 ◆災害や停電時に活用

 地域にある自然エネルギーを利用して“24時間”発電しているということに意味がある。それが地域の身近に存在し、大規模災害などで停電が発生した際の基点となれる。

 いざというときに本当に頼りにできる仕組みが住民にもたらす安全・安心や、これまで利用することができなかった水資源の活用が地域にもたらす経済効果は少なくない。大規模水力発電所を建設する場合には環境に与える影響が大きいが、小規模水力発電所の設置はそのリスクが小さいことなども含め、身近にある水資源を活用して地域で開発することの意味は大きい。

 また小規模の分散電源を多く設置することがグリッド(電力系統)の安定につながるという考えもあり、安定電源である小規模水力発電の普及によるメリットは計り知れない。エコスタイルは小規模水力発電所の開発を起点に、地域で資源と資金が循環する持続可能な循環型社会の構築を進めていく。(中島健吾 取締役電力事業部長)

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【プロフィル】中島健吾

 なかしま・けんご 1991年横浜市立大商卒。外資系証券会社や信託銀行などを経て、2015年エコスタイルに入社し、取締役。49歳。島根県出身。