【2018 成長への展望】三菱商事社長・垣内威彦さん(62)縦割り組織の打破へ組織改編も視野

 

 --世界経済の方向性は

 「情報通信やエネルギー産業で世界をリードする米国経済は強い。アマゾンやフェイスブックなど米企業のトップ10はIT企業が占め、シェールガスなどの生産も好調だ。成長率は昨年を上回り、法人税減税のインパクトも大きい。中国も全く悲観していない。国営企業中心の合従連衡で生産調整が進み、電気自動車(EV)化のビジョンなど抜本的に経済をてこ入れする姿勢だ。地政学リスクは中東で(資源頼みの)産業構造転換を迫られる上に各国間の利害が難しく、簡単には解決しないだろう」

 --次世代の収益に交通インフラ、分散型発電、複合都市開発などを挙げる

 「縦割り組織の壁を破り、相乗効果を生み出してほしい。そのためには組織改編も視野に入れても良いと思っている。例えばガス&パワー。これまで、ガスの開発・販売はエネルギー部門が、ガス発電所はインフラが手掛けてきたが、北米などでこれらの事業をつなげることで(ガス販売の選択肢が増え)リスクも減ると思う。アジアの都市開発も複合化し、鉄道や港湾インフラ整備にどうつなげるか、病院の誘致やマンション販売へと広がる。空港運営もリテールや娯楽施設などの機能が増え、都市開発に近い。運営に加えリースやファンドへの売却など総合的な取り組みも必要だ」

 --2017年度の最終利益見通しは5000億円と約10年前を超え過去最高だ。停滞感を打ち破るには

 「価値観や発想を変えた新しいビジネスモデルでブレークスルー(打破)していきたい。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の技術革新で圧倒的な生産改善につなげれば、将来の主力事業になると確信している。いろいろな産業分野にはってきたビッグデータがあり、それを束ねる構想力もある」

 「もう一つのキーワードは業界再編だ。業界を俯瞰(ふかん)して社会的や業界にマッチしていれば、再編に関与することもあるだろう」

 --子会社化したローソンをどう飛躍させる

 「コンビニは食品や雑貨販売から、多機能の社会インフラへと未来を切り開くのが役割だ。電気自動車(EV)のバッテリーへの充電機能や電子商取引(EC)の増加で消費者に届ける物流機能も増える。金融機関が店舗を縮小する一方で住宅ローンや相続、納税のアドバイス、介護、保険など、対面で相談したいことは実はたくさんある。ローソンの店舗を使ってもらい、ついでに商品買ってもらう手もあるだろう」

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【プロフィル】垣内威彦

 かきうち・たけひこ 京大経卒。1979年三菱商事入社。オーストラリア三菱商事(シドニー)、生活産業グループ最高経営責任者(CEO)オフィス室長、農水産本部長を経て2010年執行役員、13年常務執行役員生活産業グループCEO。16年4月から現職。兵庫県出身。