【2018 成長への展望】三菱ケミカルHD社長・越智仁さん(65)

 

 ■変革実行と成長獲得が今年のテーマ

 --昨年の世界経済を振り返って

 「全体的にみて、安定した良い1年だった。もともと世界経済は、トランプ米大統領誕生の影響を受けないと思っていた。英国のEU(欧州連合)離脱など、他にも問題はあったが、基本的には予想通りになった。日本は貿易で成り立っているが、政治よりは中国経済の動向の方が、受ける影響は大きい」

 --化学業界も明るかった

 「米国で増産が進むシェールガスの影響が予想されるほか、中国では工場建設が相次いでいるが、これは避けようがない。中国政府は環境問題への対応を強化しつつ過剰設備を減らしているので、過当競争は解消されつつある」

 --世界シェアトップのアクリル樹脂原料(MMA)では、昨年12月にサウジアラビアで合弁工場を稼働させた

 「MMAは海外設備の老朽化やトラブルもあって需給が非常に逼迫(ひっぱく)し、価格が高騰している。コスト競争力のあるサウジ工場の稼働はいいタイミングだ」

 --昨年4月には三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂の事業会社3社を統合し、「三菱ケミカル」を発足させた

 「統合で事業のスピードが速まり、新しい世の中の動きやトレンドに対する準備がしやすくなった。海外でも地域統括会社を設立し、マーケットに即応できる体制づくりが整った」

 --3社の社風の違いは解消しつつあるのか

 「あまり違和感はない。当初はお互いが遠慮する部分があったが、収益がきちんと出ていることもあり、自然とまとまった感じだ。その意味ではラッキーだった」

 --2020年まで5カ年の中期経営計画は、目標達成が見えてきた

 「表向きの目標は変えていないが、連結営業利益は3800億円から4300億円に実質上積みした。設備投資額は1兆1700億円と2000億円増額し、研究開発費用も250億円追加した。一方、売り上げ規模で3000億円分の不採算事業について、撤退や売却を含めなんらかの対策を講じる」

 --今年の抱負は

 「中期計画1年目の16年は、成長と変革への第1歩と位置づけた。2年目の17年はその推進をうたった。3年目の今年はさらなる変革の実行と成長の獲得がテーマで、目標達成に向け重要な年となる」

【プロフィル】越智仁

 おち・ひとし 京大大学院化学工学研究科修了。1977年三菱化成工業(現三菱ケミカル)。2007年三菱化学(現三菱ケミカル)執行役員経営企画室長、12年三菱レイヨン社長などを経て、15年4月から現職。愛媛県出身。