【2018 成長への展望】旭硝子社長・島村琢哉さん(61)

 

 ■事業構造均衡化の成果刈り取る年に

 --昨年で3カ年の中期経営計画が終了した

 「2017年12月期は1150億円の連結営業利益を予想しているが、これは中期計画で掲げた1000億円以上の目標を上回る。売上高は目標の1兆6000億円に対し、予想は1兆4500億円と下回っているが、計画を立てた時点より円高になっているので、実質的には約1兆5500億円でほぼ同じだ」

 --主力のガラスは欧州の需要回復が目立つ

 「08年のリーマン・ショックで、欧州のガラス需要はそれ以前の約7割まで急減した。その後も、特に建築用はなかなか需要が持ち直してこなかった。その後、各メーカーが能力を削減し、16年の後半ぐらいから需要もようやく回復し始めた。本当の意味でやっと底打ちしたと思う。当社も昨年4月にフランスの工場で13年から休止中だった製造窯を再稼働させたほか、イタリアの建築用ガラス工場では11月に高効率な窯を導入した。フル生産までいくのではないか」

 --ガラスに次ぐ柱の化学品事業は絶好調だ

 「主力製品のカセイソーダや塩化ビニール樹脂の市況好調が追い風になっているが、けしてそれだけが理由ではない。当社の強みである売る力で優位に立てている。17年2月にタイの塩化ビニール樹脂メーカーを買収し、(主要マーケットである)東南アジアでの優位も確立できた」

 --神奈川県の工場で車載用ガラスを生産強化した

 「欧州の高級車から始まった動きだが、インパネの画面が大型化してきている。当社はスマートフォン用カバーガラスを大型化し、この分野へ持ち込んだ。自動車メーカーとの関係が深いことと、保有素材という2つの強みを生かし、新用途を開拓できた」

 --7月1日に社名をAGCへ変更する

 「すでに関係会社では約10年前からAGCを社名に使い始めていて、本体だけ旭硝子を続けていたが、バイオサイエンスや化学品にも力を入れ、事業構造を変えている。約30カ国で事業展開している企業として、グローバル化をさらに推進するためにも、変更した方がいいと考えた」

 --今年の抱負は

 「前中計では収益を上向かせ、ガラス事業やディスプレー分野に偏っていた構造を均衡させ、将来の方向性をはっきりさせるという3つの課題に取り組んだ。1つ目と2つ目は達成し、3つ目についてもバイオ事業などでM&A(企業の合併・買収)を含め積極投資した。今年はしっかり(利益を)刈り取っていく」

【プロフィル】島村琢哉

 しまむら・たくや 慶大経卒。1980年旭硝子。2010年執行役員化学品カンパニープレジデント、13年常務執行役員電子カンパニープレジデントなどを経て、15年1月から現職。神奈川県出身。