【2018 成長への展望】東京海上ホールディングス社長・永野毅さん(65)

 

 ■新興国ビジネスの利益割合を2割に

 --海外のM&A(企業の合併・買収)に注力する

 「ここ数年大型買収するなかで、いろんな面白い論議ができるようになり、シナジー(相乗効果)も生まれてきている。買収した会社が持っていた商品やサービスを日本で展開しているほか、大きなグループに入ったことで格付けが上がり、調達コストが安くなるなど、コストシナジーも生まれ、税引き前で300億円近い利益を毎年生み出せるようになってきた」

 --昨年は米国で大きなハリケーン被害もあった。買収にはリスクも伴う

 「何のための海外展開かというと、リスクを分散させる意味がある。ハリケーンもあれだけの規模だったが、財務会計に与えた影響は2割以下だった。これは利益が分散され安定してきたということだ。保険会社なので健全性は大切で、安定化させるためにも海外進出で規模を拡大させることが大切だ。買収に使える資金も1兆円程度は確保しており、金額にはこだわらず、良い会社があれば買収していきたい」

 --今年は新たな中計をスタートさせる年になる。新たな海外展開も視野に入れているか

 「リスクをより分散させたい。地域的にはアジアをはじめとする新興国のビジネスを増やしたい。利益だと今は1割くらいを新興国で稼いでいるが、2割程度まで増やしたい。そのためにはアジアの生命保険事業を収益化し、損害保険も規模を拡大させたい」

 --新興国の魅力について

 「なんといっても人口が伸びていく点だ。保険の付帯率も低く、人口が伸びる分と付帯率が上がる分でかなりの潜在成長率がある。力を入れているのはインド、インドネシア、マレーシア、フィリピンなど。ブラジルもまだ伸びるとみている」

 --主力の自動車をはじめ、国内の戦略は

 「自動車の保有台数は今がピークで、これから減っていくとみている。ただ、相当時間をかけて減っていくので、その間に新たな専門的分野やリスクに対応できる商品を出していくことが大切だ」

 --テクノロジーの進展はどうみているか

 「世界ではビッグデータを活用した保険会社も出てきている。これまでは過去のデータを基に統計分析をしていたが、ビッグデータで将来を予測することが可能になるかもしれない。マーケティングの世界も激変するかもしれない。経営理念など守るべきものは守るが、ビジネスモデルはどんどん変えて、環境変化に対応していきたい」

【プロフィル】永野毅

 ながの・つよし 慶大商卒。1975年東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)。東京海上日動火災保険社長などを経て、2013年6月から現職。高知県出身。