創業100年のパナ、世界最大の見本市で「家電」前面に立てず 「何の会社か」の問いに社長は…
【ラスベガス=中山玲子】米ラスベガスで9日開幕した世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。今年3月に創業100周年を迎えるパナソニックは、リビングのようにくつろげる自動運転車のコンセプトカーや、車載コックピット(運転席システム)、物流向けオートメーションシステムなど企業向けの製品を多数展示している。一方、テレビやパソコンなど最新の家電製品は前面に打ち出していない。
報道陣からパナソニックは何の会社かと問われた津賀一宏社長は、「(社内で)家電の存在は大きかったが、何かの会社であると言ってしまうと次の100年は生き残れるかわからない。家電で培ってきたものを生かし、再スタートを切る気持ちでなければならない」と語った。
同社はCESが初開催された1967年から参加、今年で51年になる。60~70年代にはカラーテレビ、80年代にパソコンやCDプレーヤー、90年代に入るとDVDプレーヤーなどその時代の最新機器を展示。2000年代以降は高画質なプラズマテレビがイベントを盛り上げたが、近年は家電の縮小が続いてきた。
今年は100年の歴史をまとめつつ、自動車関連技術が主役に就いた。CESの展示は、同社の方向性を明確に示している。
創業者・松下幸之助の偉勲、米でも輝く
一方、パナソニックはCESで同社の歴史を紹介する特別エリアを設け、創業者、松下幸之助氏の経営理念や製品の進化を展示している。
「私たちの使命は、企業活動を通して社会の進歩と人々の幸福に貢献することです」
幅約30メートル、高さ約6・5メートルの巨大パノラマシアターには、幸之助氏が生前語った言葉がその姿とともに映し出され、過去から現在へと映像が走馬灯のように変化していく。多くの来場者が立ち止まり、幸之助氏の生涯と100年の歴史をリンクさせた6分間のメッセージに見入っていた。
同社製品の1号機と現行機種が並び、進化がわかる展示も注目を集めている。
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