ソニー「aibo」発売 コミュニケーションロボの競争激化、市場拡大へ

 
ソニー本社に展示されたaibo=11日、東京都港区(松本健吾撮影)

 ソニーは11日、人工知能(AI)を搭載した家庭用の犬型ロボット「aibo(アイボ)」を発売した。業績不振で平成18年に生産を終了した「AIBO」を12年ぶりに復活させ、成長が見込まれるコミュニケーションロボット市場でのシェア獲得を狙う。

 犬の鳴き声にちなみ発売日を1(ワン)月11(ワンワン)日に合わせた。都内のソニー本社で午前11時1分から記念イベントが行われ、約30人の購入者が来場。一人一人が開発責任者の川西泉執行役員からアイボを受け取った。大阪市の会社員、中村泰之さん(46)は「復活を待っていた。きょう新幹線で来たので愛称をヒカリにする」と笑顔を見せた。

 ソニーは昨年末に3回のネット予約販売を実施。すべて40分以内に予約がいっぱいとなり、「滑り出しは順調」(川西氏)だ。発売に先立つ9日には平井一夫社長も「日本のみならず、海外でも展開したい」と意欲を示している。

 アイボはAIや多彩なセンサーを搭載し、ネット常時接続で情報をクラウド(ネット上のサーバー)に集約。“飼い主”の嗜好(しこう)に合わせて成長する。能動的に飼い主に近づいたり鳴き声で感情を表現したりするなど、ペットのように振る舞う。

 旧アイボは一大ブームを巻き起こしたが、業績不振のため生産が打ち切られた。しかしソニーの足元の業績は回復を遂げ、30年3月期の連結営業利益は6300億円と20年ぶりの過去最高益を見込む。アイボ復活をソニーの業績復活に重ね合わせ、成長軌道への回復を内外に印象付ける。

 矢野経済研究所によると、アイボなどの「コミュニケーションロボット」の国内市場規模は26年度の約8億5千万円から32年度には約87億4千万円に拡大する見込みだ。店先で接客などをこなすソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」、シャープの人型ロボット携帯電話「ロボホン」のほか、富士通も昨年12月に人工知能搭載のロボット「ユニボ」を投入しており競争が年々激化している。

 同研究所は少子高齢化でロボットが高齢者の孤独感を解消したり介護現場で活躍したりするとして、「市場拡大は加速していく」と予想する。

 アイボの価格は19万8千円。クラウドの利用などのために必要な3年間のプランへの加入料は一括払いで9万円(いずれも税別)。