住友商事、ダッカ近郊に日本企業専用の工業団地 JICA、円借款で支援

 

 住友商事がバングラデシュ政府と首都ダッカ近郊に日本企業専用の工業団地の運営に乗り出すことが10日、分かった。今春にも正式に決める。国際協力機構(JICA)は、住商と同国政府が設立予定の特別目的会社への同国政府の出資分について、円借款の新方式で支援する方針。官民でインフラを整備し、同国の裾野産業の育成や産業多角化に協力する。

 日本企業が同国で工業団地を運営するのは初めて。住友商事はベトナムやミャンマーなどにおける工業団地運営のノウハウを生かし、進出企業の輸出入手続き代行や物流といったワンストップサービスなどを提供する。同国政府は治安面で支援する。総事業費は数百億円規模とみられる。

 同国は、年率6~7%と安定した経済成長が10年以上続いており、1億6000万人の豊富な労働力と消費市場が魅力だ。ホンダは同国での二輪車販売が好調で、昨年11月には現地子会社を通じ、組立工場をダッカ近郊で着工した。

 親日国で日本製品への信頼が高いだけに、進出済みの縫製メーカーや日系メーカーの多くが増産を計画している。しかし、工業団地の入居企業がほぼ満杯で、進出企業の安全確保と整備が課題だった。

 同国政府はこのほど、ダッカ東部約20キロのアライハザールにある土地を日本専用の経済特区(SEZ)に内定した。税制優遇措置や進出手続きの簡素化などの投資環境改善を進める方針だ。

 住商はバングラデシュ政府と今後、運営の特別目的会社を設立し、賃貸契約を結ぶ見通し。

 住商は昨年8月に約5000億円にのぼる高効率石炭火力発電所と港湾整備を一括受注した。同国はインフラ計画がめじろ押しで、工業団地運営に加え通信や鉄道などのインフラ整備に総合的に取り組む。

 一方、日本政府は14年の安倍晋三首相の訪問を機に政府開発援助(ODA)を増額し、インフラ整備を進めている。JICAは今回、エクイティ・バック・ファイナンスと呼ばれる、相手国政府の出資分を円借款で融資する新方式で、工業団地整備を支援する。

 アクセス通路をはじめ発電所などの周辺インフラも整備することで早期に進出できるようにし、バングラデシュ銀行を通じて工業団地の入居企業向けに融資する金融支援も検討している。

 バングラデシュへの進出企業は2016年のダッカのテロ事件以降も増え、「消費市場をにらんだ製造業の進出相談件数も昨夏以降、急増している」(日本貿易振興機構)。ただ、治安面への警戒は解けず、日本企業専用団地とすることで安全面を支援したい考えだ。(上原すみ子)