今年デビューのコメ 宮城の「金のいぶき」と山形の「雪若丸」 ブランド化目指す
今年産が本格的な“デビュー”となる宮城県産の玄米「金のいぶき」と山形県産のコメ「雪若丸」。両品種の関係者はPR活動や品質向上のためのマニュアルづくりなどに熱心に取り組んでいる。平成30年産米から国による生産調整(減反)が廃止され、競争激化が見込まれるなか、いずれも味はお墨付き。両品種はブランド米としての地位を築くことができるか-。(石崎慶一、柏崎幸三)
宮城県が開発し、平成30年産から一般作付けが始まる玄米食向けの品種「金のいぶき」の知名度アップを図ろうと、県は仙台市内のホテルで試食会を開き、約100人がもちもちとした食感を味わった。
金のいぶきは白米と同じように手軽に炊飯器で炊くことができ、食感では胚芽のぷちぷち感も楽しめるのが特徴。26年から販売が開始された。
15日に開かれた試食会では、ゲストのサッカーJリーグ・ベガルタ仙台の元選手、千葉直樹さん、モデルの葛岡碧(みどり)さん夫妻がおにぎりを味わい、「かめばかむほど甘みが広がる」などと感想を述べた。
金のいぶきを使った茶碗(ちゃわん)蒸しやリゾットなども出され、仙台市太白区の主婦、上中弘美さん(57)は「どれももちもちとした食感とマッチしておいしい。食事に取り入れたい」と話した。
村井嘉浩知事は「他県と差別化が図れるコメだ。まず県民に食べていただき、良さを感じてほしい」と呼びかけた。
■山形では栽培マニュアル作製
今秋本格デビューするコメの新品種「雪若丸」について、生産者などが話し合う「第4回『雪若丸』良食味米栽培管理研修会」が山形市内で開かれた。
平成29年産米については10アールあたりの収量が川西、庄内両町が各660キロで最も多く、上山市334キロ、鶴岡市300キロと地域でばらつきがあった。
一方で、玄米タンパクは7・5%未満の地点がほとんどで、標準並み。「外観」や「粘り」「硬さ」などを総合的に評価した「食味評価値」は、はえぬき並みかそれ以上だった。
雪若丸の品質を一定させるため、県は2月までに栽培マニュアルを作成する。これに対して、生産者からは、収穫しづらい短い草丈を伸ばす方法を盛り込むようにといった意見が出された。
県は雪若丸デビュー初年度に当たる平成30年産米を面積1790ヘクタール、生産者2千人(生産組織は90)で約1万トンの生産を目指す。
食用米として人気が高い一方、すし米やカレー、ピラフなどの外食用米にも向いている。このため、県県産米ブランド推進課の卯月恒安水田農業推進主幹は「生産者の収益確保が大切。そして(雪若丸の)使用目的に合ったコメづくりもしてほしい」と訴えた。
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