ドラッグストア、首位めぐりM&A火花 成長頭打ち…安値攻勢強化
ドラッグストア業界の首位奪回をめぐるM&A(企業の合併・買収)が激化している。市場が成熟期へ移り成長が頭打ちになっているためだ。安値攻勢の強化に向け、今年は規模の拡大競争がさらなる合従連衡を呼ぶ「戦国時代」となりそうだ。
市場規模は6.5兆円
昨年9月、業界2位のツルハホールディングスは静岡を中心とした杏林堂グループ・ホールディングス(浜松市)を買収し、ウエルシアホールディングスを抜いて首位に躍り出た。ツルハの堀川政司社長は「一緒になったことで、仕入れだけで8億円の効果が見込まれる。競争は厳しいが、従来を上回る出店をしていく」と強気の姿勢だ。
もともと個人経営の店がほとんどだったドラッグストアは、1970年代からチェーン店化が進んだ。90年代には大手が出店を強化。日用品を安く売ってお客を集め、利益率の高い医薬品や化粧品でもうける手法で、市場を一気に広げた。
日本チェーンドラッグストア協会によると、2016年度の市場規模は前年度比5.9%増の6兆4916億円。食品や酒類に加え高収益の調剤分野に手を広げて大型化が進み、訪日外国人客の旺盛な需要も取り込む。
一方、競争は熾烈で、1店舗当たりの売上高は10年度前後から伸び悩んでいる。大衆薬の扱いでは13年に解禁されたインターネット販売の台頭が脅威で、コンビニエンスストアとも客を奪い合う状況となっている。
規模拡大で仕入れコストを下げ一層の安売りに打って出ようと、大手は中小を傘下に取り込む戦略を強化。「若い業界だったのが今は寡占化が進んでいる」(業界関係者)とされ、上位10社で市場シェアの3分の2程度を占めている。
「当面消耗戦続く」
あらゆる商品を扱う現在のビジネスモデルの草分け的な存在がマツモトキヨシだ。関東を中心に中小の買収を重ね、1994年度に業界首位となった。これに対し、2014年に流通大手イオンの子会社となったウエルシアは、M&Aを繰り返し16年度に首位を奪った。4位以下にも、関東地方で展開するサンドラッグや九州が地盤のコスモス薬品がひしめく。
業界事情に詳しい野村総合研究所の矢野亮グループマネージャーは「ドラッグストアは扱う商品が似ており、立地と価格で戦っている状態だ」と指摘。消耗戦が続き、大手による中小の買収が当面続くとみている。
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