29年スーパー売上高、2年連続前年割れ 節約志向根強く、値下げ競争も

 
スーパー店頭で品定めする買い物客。消費者の節約志向は根強い=東京都杉並区

 日本チェーンストア協会は25日、平成29年の全国スーパー売上高が12兆9175億円で、出退店の影響を除く既存店ベースでは前年比0・9%減となり、2年連続のマイナスだったと発表した。訪日客の増加や富裕層の購買行動に後押しされる百貨店業界が3年ぶりに売上高を伸ばしたのと対照的に、日常消費の現場では節約志向が根強い。(山沢義徳)

 同協会に加盟する56社約9900店舗の集計。昨年は、28年に高騰した野菜の相場が比較的安かったことに加え、サンマの不漁などから水産品が振るわず、売り上げ全体の約7割を占める食料品が0・5%落ち込んだ。

 過去10年間で売上高が前年を上回った年は、消費税率が8%に引き上げられ、買い控えが起きた翌年の27年だけだ。

 総務省が毎月発表する消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、直近の昨年11月まで11カ月連続のプラスだが、ガソリンなどエネルギー関連の上昇が大きい。チェーンストア協会の井上淳専務理事は「特別な出費に備え、日々の出費を節約する『メリハリ消費』が常態化している」と指摘する。

 「毎日の買い物は1円でも安い品を求める生活防衛意識」(イオン広報)にこたえようと、各社は値下げ競争にしのぎを削る。

 イオンは今月17日、プライベートブランド(自主企画)商品「トップバリュ」シリーズ100品目を平均10%値下げした。昨年春と夏にも引き下げており、対象商品は直近1年間で計303品目に上る。

 西友も、昨年は食料品を中心に計6回の値下げを行った。「値下げした商品の売り上げは、値下げ前の前年同月に比べて1割以上伸びる」(広報)といい、価格競争によって客足を確保する構図は変わらない。

 ただ、百貨店業界では主力の衣料品に回復の兆しがみられ、「中間所得層の購買意欲が上向きつつある」(日本百貨店協会)との声が上がる。チェーンストア協会も「新年の初売りはまずまずだった」(井上氏)といい、「雇用増や賃上げが消費マインド好転につながれば」と期待を寄せる。