楽天、損保事業参入 朝日火災海上をTOBで買収へ
楽天本社が入るビル=東京都世田谷区(宮川浩和撮影)
楽天は29日、野村ホールディングス傘下の中堅損害保険会社、朝日火災海上保険(東京)を約450億円で買収し、完全子会社化することを目指すと発表した。損保事業への参入で金融事業を強化し、収益源の多様化を加速する。
1月30日から3月13日までの30営業日、株式公開買い付け(TOB)を実施し、野村グループなどの株主から朝日火災の株式を取得する。
楽天は楽天会員を損保の契約者として取り込むことで、強い顧客基盤の構築を目指す。損保商品を代理店とネットの二つの経路で売る方針も示した。生命保険を扱う子会社、楽天生命保険との相乗効果も販売面で見込めるという。
楽天は、電子商取引(EC)で蓄積した顧客データも活用して独自の保険商品を開発する。自社で手掛ける民泊事業で、民泊事業者向けの火災保険などの開発も視野に入れる。
一方、野村ホールディングスは29日、TOBに応じることを決めたと発表した。損保業界では、東京海上ホールディングスとMS&ADホールディングス、SOMPOホールディングスの大手3社による寡占化が進み、中堅にとって事業環境が厳しくなっていると判断し、朝日火災を手放す。
楽天は仮想商店街「楽天市場」の会員向けに旅行予約やクレジットカード発行といった多様なサービスを提供する戦略を取っており、損保事業もその一環となる。
昨年12月には、NTTドコモなど携帯大手3社のように自前の回線網を持つ携帯電話会社の設立を目指すことも発表している。
関連記事