販売支える“両刃の剣” 米自動車市場で光るトヨタ、日産の秘密兵器「フリート」

提供:ブルームバーグ
米ニューヨークの街中を走るトヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」とセダン「カムリ」のタクシー(ブルームバーグ)

 トヨタ自動車と日産自動車が米自動車市場で快走している。大手自動車各社が1日発表した1月の米自動車販売台数の伸び率は米ゼネラル・モーターズ(GM)が前年同月比1.3%増となったものの、米フォード・モーターが6.3%減、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は13%減と苦戦が強いられた。一方、トヨタが17%増、日産は10%増となった。

 収益悪化の恐れ

 トヨタと日産の快進撃の背景には、レンタカーやタクシー会社などの大口顧客(フリート)向けの販売の増加がある。英銀バークレイズのアナリストらはトヨタ、日産の好調の要因について、「フリート販売の拡大が寄与した」と見ている。

 調査会社コックス・オートモーティブによれば、1月のフリート販売台数は日産が48%増の4万1550台、トヨタが69%増の2万4281台と大きく伸びたという。なかでも、米市場でシェア10%の獲得を目指す日産は、目標達成のためにフリート販売の拡大を急いでいる。

 もっとも、フリート販売の増加は両刃の剣でもある。フリート販売は一般の顧客に販売するよりも値引き幅が大きいため、台数を売っても1台当たりの利益は少ない。このため、依存度が増せば増すほど収益が悪化する恐れがある。また、使用済みのレンタカーはいずれ中古車市場に向かい、中古車価格の下落にもつながる。

 自動車業界コンサルタントのマリアン・ケラー氏は「(日産にとって)フリート販売はシェア10%を獲得するための一つの手段ではあるが、新型車が中古車市場に多く出回るようになれば、新車と競合して価格や利益の押し下げ要因になる危険もある」と警告する。

 米大手は縮小

 北米日産のジュディ・ウィーラー副社長(営業担当)はフリート販売の増加について、「2018年型車に備えて17年型車を一掃したためであり、時期的に必要な対応だった。大口顧客も高機能な車種を好むようになっており、フリート販売は以前のように利益率が低いわけではない」と説明している。

 かつてフリート販売の大部分を占めていたのはGMやFCAだった。だが、16、17年には、GMの米国販売台数に占めるフリート販売の割合は2割未満に縮小した。FCAは収益向上のため、16年後半からフリート販売を縮小している。1月の販売台数が大きく落ち込んだのもこのためだ。米市場深耕に向けたトヨタと日産のフリート販売という“秘密兵器”は今後、吉と出るのか凶と出るのか。関係者は両社の動向を注視している。(ブルームバーグ Jamie Butters、David Welch)