通期予想最高益も本業失速…晴れぬトヨタ くすぶる株安リスク

 
第3四半期決算説明会で営業利益などについて説明するトヨタ自動車の白柳正義専務役員=2月6日午後、東京都文京区(酒巻俊介撮影)

 平成30年3月期の連結最終利益予想を上方修正し、過去最高を見込むトヨタ自動車だが、米国の法人税減税と為替の影響が大きく、手放しで喜べる状況ではない。主力市場の北米は競争環境の悪化で減益となり、29年の中国での販売台数は日産自動車やホンダに及ばなかった。世界的な株安が購買意欲の低下を招く懸念もくすぶる。経営陣は本業を強化しながら、電気自動車(EV)や自動運転など全方位で次世代車の開発も進めるという難しいかじ取りを迫られている。

 「通期見通しの評価は『バツ』だ」。6日に東京都内で記者会見した小林耕士副社長は、過去最高の売上高と最終利益を見込む通期予想にも晴れない表情をみせた。本業のもうけを示す営業利益でみると、為替の影響を除けば、前期に比べ550億円の減益となる見通しだからだ。

 30年3月期に営業利益を2400億円押し上げるのは円安効果だ。世界株安連鎖を受けて外国為替市場の円相場は6日、一時1ドル=108円台の円高水準に達したが、通期の想定レートは従来の1ドル=111円を維持した。トヨタは対ドルで1円円高が進めば、営業利益が約400億円吹き飛ぶ。円安効果の先行きは不安が大きい。

 地域別にみると、世界販売台数の約3割を占める北米が気がかりだ。売れ筋の車種が、トヨタの得意とするセダンからスポーツ用多目的車(SUV)などの大型車にシフト。同地域での昨年4~12月期の販売台数は前年同期比1万3千台減った。

 販売店に支払う値下げ原資となる販売奨励金が増加して収益性も悪化し、同地域の営業利益は半分以下に減った。世界株安が実体経済に影響すれば、需要が大きく低下するリスクもある。

 昨年12月に電動化を積極的に進める方針を示したトヨタは、30年3月期に前期比2%増の1兆600億円を研究開発に充てる計画だ。中長期的には大きな負担になるだけに、未来への“種まき”と足元の好業績持続を両立していけるかが問われている。(臼井慎太郎)