宅配「シェア2強」に変化 日本郵便の追い上げや新勢力が台頭

 
宅配荷物の取扱量が増えている日本郵便の車両=東京都港区

 ヤマト運輸と佐川急便の値上げをきっかけに、宅配業界の勢力図が変わる可能性が出てきた。値上げを遅らせた日本郵便の「ゆうパック」に顧客が流入し、市場シェアで2位浮上をうかがう。インターネット通販会社が自前の物流網の整備に乗り出すなど、新勢力の存在感も高まっている。

 値上げ遅らせ奏功

 「佐川急便に十分追いつける」-。日本郵便の横山邦男社長は、今後の宅配便のシェア拡大に自信をみせる。値上げ時期を3月に遅らせたことが功を奏し、昨年12月のゆうパックの取扱個数は単月として初めて1億個を超えた。2017年度のシェアは2割を超える見通しという。

 物流コンサルティング会社イー・ロジット(東京)の角井亮一社長は「配送網の余力はまだあるはず」と指摘する。10年に日本通運の「ペリカン便」を吸収したが、当初想定した相乗効果を発揮できていないためだ。

 日本郵便は値上げ後の料金水準も同業大手と比べて低く設定する。手紙やはがきの配達が減る中で、宅配事業の拡大に向けてアクセル全開で挑む構えだ。

 ヤマト運輸は昨年10月、27年ぶりに運賃を引き上げ、値上げ幅は平均で約15%に達した。佐川急便も昨年11月に追随した。ただトラック運転手の人手不足を背景に人件費が急ピッチで上昇する経営環境は変わらず、法人向けを中心に値上げの動きは続くとみる関係者は多い。

 ネット通販会社にとっては収益圧迫につながるため、送料無料を見直す動きが広がっている。衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイは昨年11月、配送料を無料から一律200円に変更した。

 EC特化の配送網

 「ヤマト運輸や佐川急便より安い値段を実現できる」-。楽天の三木谷浩史会長兼社長は1月30日、電子商取引(EC)に特化した独自の配送網を2年以内に構築すると表明した。担い手として大手私鉄の子会社を活用。ドローンを使った配送方法などを検討するという。

 流通業界に詳しいコンサル会社フロンティア・マネジメント(東京)の山手剛人シニア・アナリストは「営業所で荷物を受け渡す代わりに運賃を安くする手もある」と指摘。「格安航空会社(LCC)のように、サービスを簡素にした格安宅配会社が登場するのではないか」と新勢力の今後の動きを予想した。