【スポーツi.】プロ野球キャンプ地の経済効果争いは?

 
ウオーミングアップを行う巨人ナイン=1日、KIRISHIMAヤマザクラ宮崎県総合運動公園

 いまプロ野球は春季キャンプの真っ最中だ。日本ハムは海外へ飛んだが、残りは国内組。広島、巨人、ソフトバンク、西武、オリックスの5球団が宮崎へ、DeNA、阪神、中日、ヤクルト、楽天、ロッテの6球団が沖縄である。温暖な地で調整して3月末の開幕を目指す。

 宮崎VS沖縄

 球団にとってキャンプ地の条件は何より練習環境にある。メイン球場だけではなく、サブグラウンド、ブルペン、陸上トラックや室内練習場など諸設備の充実が必要となる。一方、キャンプ地にもメリットがある。1チームの構成は選手、スタッフを含めれば軽く100人は超えて、約1カ月間も滞在する。さらにメディア関係者や多くのファンも訪れる。それらの人々の宿泊、食事など直接消費に加えて観光など関連企業へもたらす経済効果は計り知れない。

 昨年実績になるが、そんな宮崎、沖縄の経済効果は?

 宮崎にはプロ野球の1軍5球団、2軍のヤクルト、楽天を含め合計7球団。韓国プロ野球も2球団、サッカーのJリーグも20球団が訪れた。PR効果は約87億9100万円と過去最大だった。ワールドベースボールクラシック(WBC)日本代表合宿もあってメディア露出は増加したが、経済効果は前年比12.5%減…。直接消費や関連企業にもたらされた波及効果は、126億6100万円と算出。やはり莫大(ばくだい)な額である(数字はいずれも県HPから)。

 沖縄はどうか? 巨人も2011年から宮崎→2月中旬から沖縄という分離制を取り入れたため9球団が集結した。年々、経済効果も右肩上がりが続いている。昨季の数字はプロ野球キャンプだけで、約109億5400万円。前年比9.5%増で過去最高を更新。観客数も観光客の増加などで5.1%増の約34万9000人と、こちらも過去最高と算出した(りゅうぎん総合研究所)。宮崎に比べ、経済効果の数字はやや劣るが、その勢いは年々増している。

 最初の沖縄キャンプは日本ハムで1978年だった。当時わずか1球団だったが、今年も日本のプロ野球9球団だけでなく韓国プロ野球も6球団…。多くの球団が集結するため、キャンプの早い時期から練習試合が組める。単一チームによる鍛錬に比べ、対外試合という実戦の方が客観的にチーム力を把握しやすい。それに本土に比べ温暖。沖縄の“利”である。

 それだけではない。サッカーのJリーグが18球団、韓国サッカーKリーグが3球団など多くの球団が沖縄を訪れ、年々チームが増える傾向にある。

 それに“誘致力”がすごい。

 こんなことがあった。宮崎・西都でキャンプを行っていたヤクルトは、2000年から沖縄・浦添に移った。気候的には利はあったが、室内練習場など付帯施設が不足していた。ヤクルト側が指摘すると、浦添側は二つ返事で了解。翌年には数億円をかけた立派な室内練習場が完成していたのである。

 「振興予算」で整備

 沖縄は基地問題に揺れる一方で観光に力を入れている。独特の『沖縄振興予算』なるものもある。内閣府が公表する18年度予算は約3010億円。そのうち、県が自主的に使途を選択できる沖縄振興一括交付金は約1188億円とある。主として観光振興などが使途とされているが、県に大きな経済効果をもたらすキャンプ地誘致・整備は“合格”というわけである。

 県北部に位置する金武町は、米軍キンバル訓練場跡地に新球場を11年完成させ、すぐさま楽天を誘致した。約13億円の費用は沖縄本島北部特別振興対策が適用された。室内練習場など周辺付帯施設もみるみる充実させた。生前、星野仙一球団副会長は「お願いすれば、すぐやってくれた。すごいよ」と。その早業に驚いていた。

 日本ハムは昨年から球場の老朽化を理由に名護から撤退したが、名護市は2020年の完成を目標に新球場を建設中。引き留めに予算投下した。その他の沖縄キャンプ地も、施設を充実させ総合運動公園として各球団招致を成功させている。

 沖縄VS宮崎…。老舗・宮崎もキャンプ誘致、改善に努力はしているが目下、勢いは沖縄が優勢!? 近い将来、経済効果でも“逆転”があるかもしれない。(産経新聞特別記者 清水満)